自身のガン体験をチャンスに変えた女性起業家。アフリカ、ガーナと日本を繋ぐビジネスとは? VIVIA Japan Inc. 大山 知春さん

アフリカと日本を繋ぐ海外ビジネスとは?自身の舌ガン経験から生まれたナチュラルスキンケアビジネスを立ち上げた女性起業家、大山知春さんをインタビュー。いつ死ぬかわからないからこそ、自分の経験が全て活きる、社会に意義のあることをしていきたい。なぜガーナ?どうして化粧品?海外ビジネスの様々な謎を探っていきます。

 

人物紹介:みさき
TACHIAGEのインタビュアー&フリーランスヘアメイク。アメリカ、フィリピン、タンザニアなど国内外問わず活動中。

 

人物紹介:大山知春
オランダでMBA取得後、ビジネスコンサルティングを主軸にしたMindNET Technologies Ltd.をガーナで設立。その後、ガン治療のため日本に帰国し、アフリカの自然生まれのナチュラルスキンケア「JUJUBODY」を販売するVIVIA JAPAN株式会社を創設。

 

舌ガン発覚闘、病中に閃いたビジネスアイディアとは?

VIVIA JAPAN株式会社ではどんなサービスを提供しているのですか?また、起業のきっかけを教えてください。

 

アフリカの自然生まれのナチュラルスキンケアブランド「JUJUBODY」の展開と、西アフリカの進出支援のコンサルティングをしています。

 

ガーナで活動していたのですが、私が舌ガン(ぜつがん)になってしまい、帰国したのが起業のきっかけです。

 

アフリカで生活してた経験から、これまで気にならなかった事を日本国内で感じるようになって。病気後は、自分の食べるものや体に取り入れるものにすごく気を遣うようになりました。

 


 

例えば、「野菜なんて切ったそこから茶色くなっていくのに、なんでコンビニのサラダは色が変わらないの?」って不思議に思ったんです。

 

日本にいた時は疑問にも思わなかったのですが、アフリカで生活してみると、パンなんて2〜3日で傷んでたりするんです。その時に「あー日本のパンって傷まないなぁ」って思って。逆におかしいよなぁって。

 

日本の「不自然」に気づき、ガーナの「奇跡の木」が運命を変えた!?

アフリカの生活ってシンプルだから、そういう経験をしてから日本をあらためて見てみると、実はいろんなものが「自然そうに見えてすごく不自然なもの」だって感じました。

 

それで化学物質を含まない、「本当にナチュラルで体に良いものを作りたい」って思ったんです。

 

そんな時にガーナ滞在中に見つけた「モリンガ」をふと思い出しました。
*モリンガ:別名「奇跡の木」とも呼ばれ、92種類の栄養素を含む植物。栄養価が高いことから食品、化粧品等に応用されている。

 

ガーナにいた頃、ガン発覚前から日常的にモリンガを摂り入れていたのですか?

 

いいえ。日本に帰国する直前にモリンガに出会ったんですよ。

 

治療のために日本に戻ってくることになって、どんな心境でした?

 

初めはまたガーナに戻れる…と思っていたのですが、転移の可能性や通院のこともあり、ガーナで暮らすのは難しいなって思いました。

 

その時に「日本で何をしよう」ってなり、「自分の経験を全部活かせることをしたい」という想いから。向こうで暮らした経験とガンの経験を活かしたいと思いました。

 

「死」を初めて他人事ではなく意識しました。

 

もしかしたら自分にはこの先、何十年はないかもしれないって、どのくらい残された時間があるかわからない…けど「何か意味があることがしたい。社会に、何かしらプラスの変化をもたらすことができたらいいな」って思ったわけです。

 


 

食品や化粧品にはまがいものが多いですよね。なんちゃってナチュラルみたいな。

 

モリンガパウダーは自分がガンの転移予防に飲んでいるものでもあって。摂取しているから今の自分自身が元気でいられると思っています。

 

本物の良いもの、そして日本に無いものを伝えたいなって思いモリンガを日本に伝えたいなって。

 

何十年、何百年経っても変わらないもの。モリンガに込めるその想い

JUJUBODYとしては、これから何を推していきたいですか?

 

今あるラインアップを推していきたいですね。どんどん商品を増やしていく…というのは考えていないです。「変わらないものを求められるようなブランド」を作っていきたいですね。

 

「変わらないものを求められるブランド」とは?

 

例えば、大塚製薬さんのオロナインって昔からありますよね。日常使いで、たくさんの人の生活の一部になっている。そしてそれ自体は変わらない。そういったモノを出せるブランドになれたらいいなと思います。

 


 

新しいものを入れるとお客さんって新しいものを買うので、どんどん新商品を展開していくスキンケア企業がありますよね。そうなってくると「何が良いの?」がわからなくなると思うのです。

 

そういうこともあって、JUJUBODYが「使ってくれる人の日常になれたら良いな」と思っています。さらには「自分と今まで関係なかった国の文化にも興味を持ってくれたら良いな」とも思ってます。自分の中で小さな発見を見つけてくれると嬉しいです。

 

日本と違うアフリカビジネスを乗り切るスマートな組織体制

私はVIVIA JAPAN株式会社だけでなく、ガーナ法人「MindNET Technologies Ltd」(以下、MindNETと表記)も共同経営しているのですが、基本的にオペーレーションは現地に任せています。また、VIVIA JAPANの業務で発生する現地で必要なコミュニケーションも現地法人に手伝ってもらっています。
*MindNET Technologies Ltd:ビジネスコンサルを行うガーナの法人会社

 

MindNETは、VIVIA JAPANを創設前に、知春さんがガーナに住んでいる時に立ち上げた会社でしたよね。今は現地法人とはどういう関わり方をされているんですか?

 

立場的には全くの別会社で、私が両方の会社に役員として所属しています。ガーナの現地法人ってディレクター(執行役員)が二人必要なんですよ。なので、MindNETには共同創設者として関わっています。基本的に現地のオペレーションは、ガーナ人の共同創設者(カール)に任せているんです。

 

JUJUBODYの輸出入関係はMindNETに請け負ってもらっています。なので現地農家など現地で発生する金銭のやりとりは、全部現地法人にお願いしています。

 

そうすると、あとは国内でのやり取りだけになるので、何かあった時に追いやすいですよね。全部そこが窓口になっている方が物事が円滑です。なので今はそういう体制をとっています。

 

現地の事は一番近くにいる現地スタッフが対応してくれるって安心ですね。現地法人の強みを活かしたすごくスマートな体制ですね。

 

自分が現地に足を運ばないとできないことって何かありますか?

 

「実際にそのものを見るとき」ぐらいですね。どの生産者と取引するかなどは全て私が決めますが、交渉は、条件を決めたら、実際の交渉は現地人であるカールに任せる方がスムーズに行くと思います。

 

自分の存在を隠して交渉するってことですか?

 

隠すというより、必要に応じて使い分けます。現地には現地のやり方があり、現地人同士の方がスムーズなのは当然ですよね。例えば、MindNETでは、土地を保有していますが、土地購入時の交渉には、私は一切表に出ないです。

 


 

私が表に出ると、外国人がいるなら、お金を持っているだろうと高い値段をふっかけられるので、そういう時には、表に出ません。

 

ただ、土地を巡って問題が発生した際には、警察とのやり取りの中では、あえて外国人のパートナーがいるということを明かします。こんなことで揉めているなんて、他国の人に対して恥ずかしいだろうというアプローチをするために。

 

外国人で、女性で、なおかつ遠方から来てくれてる場合だと、良い具合に警察が動いてくれます。ケースバイケースで、表に出る時と出ない時をうまく使い分けできるのが、ローカルと一緒に仕事していてすごく便利なところです。

 

そもそもなぜガーナでビジネスを仕掛けたのか?

知春さんは会社員を辞めて、オランダでMBA取得されて、それがきっかけでガーナに行かれたんでしたよね。卒業後は一度日本に戻ってきてからガーナに行かれたのですか?

 

日本には戻らず、オランダから直でガーナに行きました。

 

えっ!?一度、日本に戻って仕切り直そうとは思わなかったのですか?

 

日本からガーナより、オランダからガーナの方が近いですよね。

 

もし共同創設者のカールがガーナ人じゃなかったら、ガーナという国について考えることもなかったですか?

 

ないですね!

 

偶然MBAのクラスで出会った人で。

 

もしカールが他の国の人だったら違う国に行ってたかもしれませんね。笑

 

一度もガーナに行かずにガーナでビジネスしようと決断したんですか?

 

卒業論文を書くためのマーケットリサーチをしに1ヶ月程ガーナには滞在しました。

 

「ここなら住めるかも」って思いましたか?

 

「住みたくはないけど、住めるな」って。工夫すれば、自分のいる場所を快適にすることはできるかなって思ったので。

 

ガーナに住んでみて、帰りたいという気持ちにならなかったんですか?

 

そんなの何度も思いますよ。笑

 

どんな時にそんな気持ちになるのですか?

 

結構理不尽なことが多いです。一番嫌なのは、例えば、自分が何も悪いことしてないのに警察に逮捕されたりとか。笑

 

 

信頼出来るグローバル人材を見極めるには?

失礼な質問でごめんなさい、、笑。これまでガーナ人のカールを疑うことってなかったんですか?

 

そういう質問を受けることがあるのですが、それ自体、不思議ですよね。日本人のビジネスパートナーがいる人に対して、「あなたはあなたのビジネスパートナーを信用できますか?」という質問はしないですよね。それは、無意識に「偏見」を持っているからなんです。

 

MBA中に出会ったのですが、MBAでは、多くのグループワークに取り組みます。最初は、みんな自分をよく見せようとするんですけど、物凄く追い込まれてプレッシャーがかかる中で勉強していると、みんな素が出ざるを得ないんです。

 

人の表も裏も見えるので、その中ですっごく喧嘩もしたし、ぶつかったけれど、お互いの「これが得意で苦手か」が熟知できるようになったんです。

 

私は人に任せられないタイプだけど、「これに関しては任せられる」とか、グループワークを通してわかったんですよね。そういう密接な学生生活を通して、仕事に対する信頼や倫理観に関しては、カールなら圧倒的な信頼が置けるって思いました。

 

現地スタッフについてもお伺いしていきたいのですが、現地スタッフを採用する時に思うようにいかないことはありますか?

 

3日で辞めていく人もいます。急に来なくなる人もいます。

 

でも今回雇った人達は採用時点ですごく良いなぁと思う人達でしたね。ようやく良いチームになったかなって思っています。

 

現地スタッフを雇う時に、今までの経験を通して人を見抜くコツってありますか?

 

無いですね。直感です。笑

 

スタッフが失敗しても、もう一度チャンスあげることもあるんですか?

 

お金を盗んだ人には、絶対ないですね。それは、失敗ではないですから。勤務態度や仕事をうまくこなせないということに関しては、チャンスはあげますが。

 

ガーナの勤務スタイルって?

現地はどのような勤務スタイルで動いていてますか?

 

スタートの時間は決めていますが、終了時間は自由な感じです。

 

ガーナって結構のんびりしている印象です。

 

そうですね。始業時間は早いですが、他の会社はのんびりしています。

 

なので、人材採用には苦戦しましたが、MindNETでは、ようやく、理想的なチームメンバーが揃って、機能するようになりました。全ての指示を出さなくても、自分の裁量の中で自分で考えて動いてくれる人達なので、日本の一般的な会社のように何時から何時まで勤務という形態で縛っていません。自分たちと同じ感覚で仕事ができるメンバーを迎えられたことは、本当にラッキーですね。

 


 

現地スタッフは給料制ですか?

 

そうです。給料制ですが、ボーナスなども業績に応じて導入しています。また、優秀な人が長く働いてくれるようになるよう、年金制度も導入したいと考えています。

 

現地の取引先との作業がスケジュール通り進まないことはありますか?

 

そういうことがないよう、取引先を選びます。自分のモノづくりにプライドを持って取り組んでいるので、出てくるモノに対しては信頼しています。ただ、もちろん、スムーズに行かないことは多々あります。

 

問題が起こった時に備えたバックアップ体制はあるのですか?例えば、同じ生産者ではなく、異なる生産者と取引することも?

 

常に新しい生産者を探してネットワークを貼るようにしているので、バックアップ体制はあり、そういうこともあり得ます。ただ、取引先を変更しなくてはならない自体が起き、品質が落ちるならば、商品は製造停止にするという方針でいます。

 

現地にツテがない日本人が現地パートナーを探したい時は、どうやって探したら良いのでしょう?

 

「何度も渡航して、現地の人に会う」という地道な作業を繰り返すしかないと思います。経験上、一度で全てを見つけようとするのは難しいですね。逆に縁がなければ始めないほうが良いと思います。

 

偶然辿り着いた場所、そこで知った素敵なものを日本に発信したい。

理想的な働き方について教えてください。

 

拠点は何個か持ちたいです。日本は東京だけで良いと思っていて、他国には持ちたいですね。

 

ガーナに永住したいとは思いますか?

 

嫌ですね、全然思わないです。笑

 

面白いのが、そんな風に思っているのに、知春さんの人生の中にガーナっていう国がすごく関わってるっていうところですよね。

 

私にとっては、たまたま行った場所がガーナだったんですよね。せっかくだからそこで知った良いものを外に伝えたいって思って。

 

本当に知られていない良いものがいっぱいあって、それが日本に伝わっていないのはすごく残念で。取引する相手も同じように尊敬できて、自分の仕事にプライドもってやっている人が良いですし、そういう人達と一緒に成長していきたいですね。

 

 

これからも日本に知られていない世界の素敵なものを紹介していきたいです。

 

最後に、アフリカ進出を目指す若手起業家へメッセージをお願いします。

 

サンドバック状態になることは覚悟しつつ、違いを楽しめるようになると良いのかなと思います。

 

盛り沢山の貴重なお話、ありがとうございました!

 

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