お互いに意見を交わし合える環境作りを目指す、Modern-Artisan 岡川社長 株式会社Modern-Artisan 岡川社長

伝統的な技術と現代的な技術を活かし自由な発想で新しいライフスタイルを提供する株式会社Modern-Artisan岡川社長。職人のサポートをする事業内容について、これまでの事業展開と今後の展望をお伺いしました。
人物紹介:取材担当 長堀
SEASIDEの代表でTACHIAGEの発起人。いつもお世話になっている岡川社長に、ぶっちゃけ取材を申し入れてみた!笑

 

人物紹介:岡川社長
建築業会出身のガテン系社長。若い大工さんや職人さんを統括して建物の修繕サービスを展開する。

職人をサポートする、そのきっかけは

まずはどんなきっかけで今の事業を始められたのか、お聞かせいただいてもいいですか?
元々が、今までっていうのは、どういうのがきっかけで会社にしたかっていうのが一番だったんです。

やっぱり職人さんの世界ってなかなか借り入れが難しくて信頼関係も少なくて。

よく最近3年で独立、5年で独立っていう話はあるものの、実際はその会社の下請けとして一つの歯車として働いていくのがメインで、聞こえはかっこいいけど、

「一人親方独立しました」
「親方になりました…」

でも社会的にはその信頼、信用が少ないせいか、特に金銭面での介助が難しい。

お金の借り入れが難しいねって話。

それを何とかしたいなっていう気持ちから、たまたまリーマンショック後に起業するタイミングでいろいろ聞いていたのが「どうすれば戸建てを買えますか」とか、「お金を貸してもらえますか」という話だったんです。

なるほど。
それを重々理解できたのは、リーマンショック後に、本来仕事がないはずなのに信頼と実績のおかげで仕事があったから。

これから僕に付いて来てくれるメンバーやスタッフに関しては、まずは自分から入れ替わっていって、本来みんなやりたがらないことも進めてやっていこうとしたんです。

それが、最終的に社員の育成に繋がっていった。我が子のように、自分の恋人のように相手を知らないと辞めていってしまうし、なかなかいい付き合いができない。

そんな中、社員の育成を取り入れて、上から物を言うことを一切止めたんです。それが功を奏したのか、逆にスタッフの方から手を挙げてくれるようになった。これはこうじゃないですか?とか。

すごい。
もちろん意見として対立するような会話であっても、まず手を挙げてくれたということがすごく嬉しかった。

今までは、「特にないです」とか敬遠していたのに、発言してくれるようになったんですよ。

また私もそうだったように、一人親方の職人さんは月にいくら稼ぎたい、何がしたいだけを考えていて、お金に関しては1年間終わった後のトータルのお金を見ていない。

じゃあ、どういう風にすれば本来なかなか借りることもできないお金を借りれるようになるのって。

メガバンクは相手にしてくれないんで、信用金庫さんに相談してたら、「起業した会社に3年間以上勤めて年収が400万円をいくと、とりあえずその地域、建物の相場にもよるけども3000万から3500万は貸せますよ」って言ってくれたんです。

それっていうのはすごい進歩だったんです。

何とかいってお願いした先がたまたま同級生のお父さんが不動産をやっていて信用金庫さんとの結びつきもあったので 「この子だったら大丈夫だから何とかしてやってよ」って。もちろん抵当に入った両親の建物もあるんですけど、借りることができた。

うちに来るスタッフは3年以上働いてなおかつ年収が400万円以上いったら借りるっていうのはすごく良いことだなと。

その一つの目標が叶ったことで、この形式を続けていけばいいんだなっていう感覚できたんです、のらりくらり。

いいですね。
それを周りに広めていって、今建築業界から若い人間がなかなか育たないとか離職が多いっていうものを何とか自分だったら出来るのではないか。

逆にそういうやり方を良しとして、自分に出来なくても、それをいいねと言ってくれた人達がマネをしてその人が出来るかもしれない。

そういった形で、今の建築業界を少しでも活気づくような方向性に持っていければいいなって思ったのがきっかけだったんです。

なるほど。
それから様々な分野の社長さんたちにお会いするようになって、引き出しの数が増えて、さっき長堀さんからもあったように、様々な引き合わせが可能になった。

最初は、「岡川さんって本職何なの?」とか、どちらかと言ったら疑いから入るような感じで社長さんとお会いした時に話に出すと、何を言いに来たのだろうという感じだった。

でも、その言い方を変えて、自分の本業はこうでその流れから最終的に「こういった会社ともタイアップしてやっています」とか、こういった思いでやっていますというところから繋がりをみせて、徐々に理解してもらえるようになったんですよ。

新しいものができました、これを何とかしたいと言っても、発明する人は発明する人で真っすぐになってやるから、営業の仕方が分からないとか、また最近の「つなげますよ。何します?」って方は、ただ小銭稼ぎだという感じでいたずらに詳細を伝えるのに内容を全く知らない。

そうですね。
それは違うのではないかと気付きだした。
そういう方が多いですね。
それでは、おそらく作っている側に対してあまりメリットもないし、無駄に要らないところでコストを掛けるのではないかなぁとか思うようになってから、あちらこちらに話を持っていくのではなくて、自分の持ち合わせているものはここまで紹介しても胸を張って出来るなってものしか紹介しなかったんです。
いいですねー。
それってやっぱりどの業種に対してもそうじゃないですか。

生半可にぱっぱっぱっと勝手に紹介して何も結びつかず、放置されちゃった状態じゃあ信頼関係もなくなっちゃうし、それをもしかしたら、自分だったら多少はそういう人たちよりはできるんじゃないかなとか勝手に思い込んじゃって。

それから様々な商材との出会いというか色んな会社さんの、建築に限らず色んな部分で。

そこから聞こえてきたのはやっぱり、人材育成だとか、商材のさばき方とかどちらかといったら相談を受けるようになっていて。

方向性的に自分もうちのスタッフに「あれ、岡川さんって何やりたいんだろう」って今度は逆に、身内から上がってきちゃう。

それを感じたんで「これはまずい」と。

でも、決して自分がやっていることは大きく外れているつもりもないし、みんな将来的にはギブアンドテイクな関係になるようにと思ってやっていることなんだから、ちょっとこれはちゃんと整理整頓しなきゃいけないなと思って、ちゃんとその適材適所の場所っていう働く場所をちょっと提供して、ここ数ヶ月の間に至っているんです。

そうだったんですね。

大事なのは金や年収がいくらだというのではなくて、自分の置かれている仕事環境に対して満足して、その収入とバランスが合っているかという話だと思う。

それで生活が出来るので、どちらかと言えばそういう子の方が多い。私たちの世代は物欲がすごくて、車や時計が欲しいという感覚だったのが、今はそこまでしなくても自分はこの程度でいいのだなってまとまっちゃう子が多くて、それに気づけなかったんですよね。

こうやるとこういう風になれるよっていう形の見せ方だと、僕はそこまで求めてないと言われる。一つのいい例が、残業してまでお金を稼ぎたくないとか、インターンシップで本物の大工の仕事としてノミ・カンナを研いで先輩が帰るまで帰れないとか、そこまでして自分はやりたくない。

ものづくりが好きでこの業界に入ったのだ、という子が多いので、それを活かしてあげないとこれからの建築業界に若い子は残らないだろうと思う。

それからは、若い職人を育てるという風に入り口を広げたんです。

初めは大工だったけど内装業だったり、様々な仕事内容をやらせてみて面白い・楽しいと言っているのを聞いたり見たりして、この子は向いているなというものに関しては「あなたがリーダーになってやっていったら」と。それによって、褒められているのと評価されていることに喜びを覚えて自らやってくれるようになったっていうのが大きなきっかけですね。

なるほど、なるほど。

今後はうちの「ものつくり大学」の卒業生だけの話ではなく、次は女性の職人の地位に目を向けようと思いまして。

その理由の一つは、今まで女性を雇用するきっかけがなかったんです。力仕事もあるし、その女性が所帯を持ち、子供が出来たらどうするのかという部分に関して色々準備をしないといけない。
子供が小さいうちは表に出たいけど出られない、預かってくれるところがあればいいけど、と多くの女性は言っているんです。女性も本来だったら表に出て働きたい、産休後も働きたい、生活の足しにしたいという人はたくさんいる。

だったら、なんとかして女性も入ってこられないかな、と思ったんです。普段は内装工事からスタートして、産休で休まなくても近くで子供を見てもらえる環境があればなんとかなるのではないかな、と考えました。個々に働く場を提供しているけど、もう少し将来が欲しい。

リーマンショックの影響とその後

岡川さんが大事にされていることをお伺いして、これからやっていきたい所も聞いていきたいと思います。

また会社としてリーマンショックをご経験されていますが、それをどうやって乗り越えたかみたいな所も、今のスタートアップの起業家を取材させてもらうことが多いのですが、リーマンショックを経験していない子が多いので、そこを聞かせていただけると嬉しいです。

もともとは福利厚生、社会保険に入れてあげるということ。

そのきっかけも、私の下で働いてくれる人がいるから、私自身がある程度の立ち位置にいられる。1つはリーマンショックが起こる前に、当時は50代半ばになると戦力外通告を受ける人が多かった。

そういう業界ですよね。
そうですね。

その時は、若い子を雇用しないと、若くないとだめだよねという声が周りからあったんです。

周りで50代半ばになって、60代になったらそろそろって言う話が出てきて、それが私的に納得出来なかった。

だったら、僕が雇用しますと言うことでやったんです。今の会社を立ち上げる前に、10人前後いたんですけど、私が足を挫いてしまって働けない時があったんですね。でも、「椅子に座っているだけでもいいから」と言われて、ほとんど現場に出向いても椅子に座るだけで、当たり前のように1月分のお金が入ってきた。

何もしなくても100万円以上はいってきた。普通請負業としてやっていた場合、まずありえないことだし、これをラッキーだと思ったら絶対に罰が当たると思った。

そう思いながらやってきて、たまたまリーマンショックを迎えて、私自身の実績と信頼というのが積もり積もって周りからも岡川も食わせないような環境にしてはまずいという気持ちを持っていただけて、仕事を頂くことができた。

しかし私たちが貰える同時に、それが原因で仕事が貰えない人もいるわけです。偽善者ぶるつもりはなかったですけど、私に良くしてくれた方が何名かいらして、私の分の物件を皆さんに分け与えて自分は何とかしますからということで別な会社の仕事をやるような形にしたんです。その時に、雇用していた年配者が岡川君ありがとう、これだけ働けたからもう俺らの事は気にするなと言って円満に辞めていってもらえたんですよ。

それは今のModern-Artisanを起業するタイミングですか?
起業するタイミングですね。
記事を拝見させて頂いたのですが、1998年に個人事業主として独立されていますが、その時に怪我をされてそういう経験をされた。
はい。
そして、リーマンショックを迎えた。
そうなんです。その時に皆がいてなんぼだなと思い知ったんですよ。

もし次リーマンショックが起きた時に、メンバーが増えていくのだったらもう少し若い子に目を向けてあげようと思った。

今までは年配の人で戦力外通告を受けた使いたい時だけチヤホヤされて年を取るとさようならというのはけしからんと思っていた。

でも、そういう方々がいなくなって、あえて若い子たちだけが集まってきた時に、もう少し社会保険や福利厚生的な部分の一人親方として個人事業主として良いところと社員としての良いところを取り合わせて、新しい形の職場環境を作りたいと思って、社名でもあるModern-Artisanで現代の職人に繋がったんです。

なるほど。

今後の環境作りや女性の雇用

今っぽい職人はこうなのだと知ってもらおうと思った。

うちが仕事やる時に営業をしたことはなかったが、今までの付き合いの中から口コミで仕事をしていたので、営業ゼロでここまで来られたのは、一つの自信でもある。

すごいですね。インターネットの力を使ってどんどん発信していきたいですね。

今若い職人さん、8人のメンバーがいらっしゃいますが、これからその職人さんたちとどういったことをしていきたいですか?

一つは新しい形の終身雇用、もう一つは女性だとか海外の労働者やエンジニアに対しても目を向けていこうかなと思っています。

もちろん、一番は終身雇用を絶対成功させようねと社内の中で話している。それには女性の力も必要だと思っているので、女性の職人と新しい終身雇用とが一緒だろうなと思っている。

今会社のメンバーは女性もいらっしゃるのですか?
実は、一緒にお仕事し始めた方がいたのですが、うちのスタッフは男性陣ばかりで尚且つハウスメーカーの厳しい環境や仕上げのレベルで目を肥やしてきているが、女性で一緒にお仕事しましょうと言ってくれた方はどうかというと、女性ということで受注する仕事が多かった。

それが、1人のお客様が何千万というお金を出して一生に一度の建物を造るわけでなく、流動性のある賃貸だとかあまりかっちりしたものを求めなくてもいい案件を与えられてきている。私の方は、すべて紹介で仕事をしていてかっちりとしたものを求めている。

なけなしのお金で、一生に一度の資金を調達して施工する建物だったので、やはりそういう方にも言わないといけない所がある。引き渡し前に検査をするが、これだと駄目だからやり直してもらえますかと言うと、今までそんなこと言われたことがない、と言った。

私たちはお客様側に立って、パーフェクトなものをお客様に提供して弊社の信頼があるので、そこは折れてもらって最後までちゃんとした形で施工してもらえませんか、かかる部分のお金はちゃんと払いますからと言ったのですが、道具をまとめて逃げられてしまったんです。

僕はこの業界の経験があまりにも不足していて、もしかすると的外れな質問かもしれませんが、若い女性とか男性もそうですが働きやすい環境にするためにはどういった人事制度や環境が面白いと思いますか?
起業した当時は若い職人を育てるために入り口を狭くしていたが、毎年来る子が同じ考え方ではないのでそれに対応していくにはどうすればいいかと思ったときに、普段する作業とは違う作業、例えば今まで大工工事をメインにしてきた子に内装業をやらせてみるとか、様々な仕事内容を体験させて、その子たちに合った仕事場を提供するスタンスがとれるようになってきました。

離職も減ってきた理由の一つだと思います。

仕事が人を選ぶのではなく、人がちゃんと仕事を選ぶ。

面白い話ですね。確かに。

その発想になられている施工会社の方はなかなかいないと思います。私の父も内装業ですが、頑固一徹です。(笑)

でも、デメリットもあるのも確かで、モラルがない。

自分たちの言いたいことが通っているので、いい面としてフランクでみんな仲良くやれるけど、然るべき時の対応ができない。

だからこそ、うちはモラルの無さをフォローするために、客に気に入ってもらえと言ってます。やることはちゃんとやっているので、行き過ぎた言葉ですけどお客さんに気に入ってもらえれば極端な話何やってもいいよと思ってます。

ある程度のことまでは誰しも許してくれるけど、ある一線を越えると変わったりする。その一線を越えないように、気に入られればいいだけの話です。

大丈夫かなと思う子が、逆にお客さん受けが良かったりする。最初はベテランいう指名で物件がスタートしても、途中から若い子の方がいいって言われたりします。

おもしろいですね。ある意味、本当に仕事を楽しめていますね。
そうです。それだけは自信を持って言えます。
そこが、各若い職人さんの存在意義というかアイデンティティというか仕事のやりがいを感じる瞬間なのかなと思います。

すごく素敵なお話をお伺い出来ました。ありがとうございました。

ちなみに、普段若手のメンバーに面と向かって言いたいけど言えないことなどありますか?

結構普段から言いたいことを言い合っているので、探すのが難しいですね(笑)
そうですよね(笑)ありがとうございました。

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