農業をもっと身近な選択肢に 株式会社シェアグリ 井出 飛悠人 社長

大学での研究においては農業の自動化を進めることを追求し、事業においては農業に関わる人々を増やすことで農業をより身近な存在にする。一見相反する世界観を同時に実現することを目指す、学生起業家の井出さんにインタビュー。
人物紹介:齊藤
東京都出身。TACHIAGEの起業家インタビューアー。好きな食べものはソフトクリーム、体に優しいもの。

 

人物紹介:井出 飛悠人 社長

長野県出身。小学校から高校まではサッカーに打ち込んだスポーツ少年。将来は種苗会社を営む実家に戻ることを見据えて大学4年生のときに農業分野で起業。

高校卒業時、進路選択の葛藤

まず、学生時代からお伺いしたいのですが、高校3年間はサッカーをずっとやられていたんですか?
そうです。学校にいたとしてもサッカー部の人たちといて、午後は部活して、サッカー部の寮にいたので帰って来てもサッカーの話をしたりとか。そんな高校3年間を送りました。
井出さんの代はいいところまでいったんですか?
決勝で負けてしまって全国には行けず、長野県の2位で終わっちゃいました。
3年間続けられたってことですもんね。
そうですね。引退も11月とかで。
大学いけないですよね普通に(笑)
そうですよね。
じゃあ引退のタイミングで次の進路どうするかって、どんな悩みがあったんですか?
自分は推薦で大学に行ったので。
自分の成績で行ける学校を一度リストアップし、どこに行こうかな、というように。
だから自分が選べるような立場にいなかったというのが一番強くて。
今まで勉強もしてきてなかったですし、センター試験受けたりして、自分の行きたい大学を選んで入ろうっていうことができなかった。

ずっとサッカーをやっていて全く勉強ができなかったので、高校を卒業した後のことは全く考えられていなかったというのが、その頃の状況でした。

だけど、やはり将来的には実家に戻りたいなっていうのはざっくりと考えていたので、なら自分がいけるところで何があるんだろうってリストアップした中で、会社経営をゆくゆくはするということ、農業系というところで、農学部か経営学部で絞って決めました。

先進技術を農業に取り入れる、大学での研究

いわゆる農学部って一言で言っても色々な種類がありますよね。
1年生の頃からどういうことを学ばれて、今どのような研究をされているんですか。
自分たちの学科は留学をする学科でして。
必須ですか?
そうです。
カリキュラムに組み込まれているんですけど、2年生の1つの学期は留学しないといけないんです。
おもしろい!
自分はカナダに行ってグローバルなことや英語力であったり、日本と海外の農業の違いっていうのを学びました。
それで、今の研究のものでいうと自分はリモートセンシングっていうものを研究していて。
リモートセンシング・・・
はい。人工衛星などが搭載しているセンサーを使って、ものに触れずに、遠隔から測定ができる技術です。
例えば、日本にいながらインドネシアの森林の状況を観測したりとか。自分の場合は、お米の収穫適期を圃場ごとにリモートセンシングを用いて予測するという研究をしています。
圃場(ホジョウ)ってなんですか?
ひとつひとつの水田です。
その地域のすべての圃場で、それぞれの圃場のひとつひとつの収穫適期って何月何日だっていうのを予測できるのではないかという仮説のもとで研究しています。それは自分の事業にも活かしていきたいなって思っていて。
そうなんですね。
自分は農機シェアリングをやりたいなって思っています。
大型の農業機械を生産者ごとに1台持つような現状もあったりするんですけど、それがなんでシェアできないかっていうと、収穫適期予測が地域ごとになってしまっているからなんですよ。

それが例えば、AとBという圃場があって、収穫適期がAは9月の10日で、Bは20日で、って圃場ごとに収穫適期を予測することができたら、収穫に10日間のズレがあることがわかるので、そこで農機のシェアができますよね。それが自分のやりたいひとつの事業としてあります。
そのためにリモートセンシングの研究室に入って学んでいます。

出資を受けての起業のメリット

農業でビジネスをやりたい、そしてやるって決めたのはいつ頃だったんですか?
そもそもビジネスをしたいって思い始めたのは大学2年生くらいの時期です。
まだ農業っていうところではなかったんですけど、実家が事業をやっていることもあり、自分で何かしらお金を生み出す経験をしてみたいと思いました。それで海外のビジネスインターンに行ってみて、あとは起業スクールに通って。2年生の時に個人事業になって、自分で事業を回してみたりもしました。ですが、そもそもあまり自分の提供したいものを提供しているビジネスでもなかったですし、やりたいことをやれている感がなくて。
これってなんなんだろうって考えました。

自分が働くことによってどういう人を幸せにしたいのかなって考えていった時に、自分の色々な過去とかを深掘っていくと、やはり「農業」っていう大きなワードだったり、「地方」っていうワードであったり、自分の「実家」っていうものが出てきて。
全て繋がっているもので、そこが自分としてはすごく守っていきたいもの、変えていきたいものだなというのを感じました。

農業だ!って決めたのは3年生の終わり頃ですかね。
小さい頃から関わっていた、農家さんとか地域の人たちの課題を解決してあげたい、っていう気持ちもあって起業しました。
農業系でビジネスをやっていこうと決めました。

なるほど。創業されたのはいつくらいですか?
去年(2018年)の8月です。
それまでの準備期間はどういうことをされていたんですか?
ビジネスコンテストに出ていろんなアイデアをブラッシュアップしたり、資金を頂いていました。そのために農家さんにインタビューに行ったり、ヒアリングをするっていうことはしていましたね。その中で、一つの機会としてGAIAXさんにピッチする機会があり、面白そうだからちょっとやってみたらってことで出資していただいて、8月に起業することができたという流れです。

学生中に起業するってお金もないし資本金もそんなにじゃないですか。
どこかの会社さんから出資をしていただくっていう、そこのメリットとデメリットを教えていただきたいです。
そうですね。
まずデメリットからいうと、そもそも株式比率は結構低いです。
創業したのは自分なんですけど、半分も持てていないという状況ではあります。そこはひとつのデメリットとしてはあります。
でも自分として感じているデメリットはそれだけかなと思っていますね。
そうなんですか。
そもそもなんの経験もないし、ただ単純にアイデアだけを持っているような学生が、自分のやりたいことに対してチャレンジできる機会としては、すごいメリットだなと思っています。やはり東京で学生をやっていて、クライアントさんとか、事業を提供したい人って地方にいることが多かったりするので、その営業のお金であったり、宿泊代とか、レンタカーを借りて移動しないといけなかったりとか、めっちゃお金かかってきたんです。
でも、そういうのはすべてその資本金から出て、経費として落とすことができたのですごい良かったです。

GAIAXさんでは、今まで事業立ち上げをして色々な経験をされてきた諸先輩方がメンターとして週1のミーティングを開いてくれて相談に乗ってくれます。間違った方向に行きづらいというか、すぐ軌道修正できて、価値を提供したい人たちのために直接価値を提供していけるというのはすごいメリットだと思います。

ネットワークとかも提供してくれるんですか。
そうですね。
今一つの地域としてやっている長野県飯田市も、GAIAXさんと繋がりのある方がいらっしゃって、その市町村の役所の方から色々繋がって農業団体さんにお世話になっているという形もあるので、そういう繋がりはすごい強いなと思います。それをやはり学生が1からやると、人脈もなかったりして難しいところなんですけど、大きな会社さんにサポートしていただくとすごい早いです。

じゃあお金の部分とノウハウの部分と、そのネットワークも提供していただいていると。素晴らしいですね。
すごいメリットです!

自分が納得する道を決めたら、まずは踏み出してみるしかない

学生中に、しかも出資を受けての起業っていうのをご経験されている上で、今やりたいけど、どうしようか迷っているような方に対して、一言、アドバイスいただけますか?
まず何かアクションを起こしてやってみるっていうことしかないと思います。
まずは人に話してみるとか、そもそも自分が考え得る行動をしてみるっていうのがやっぱり大切だなと思っていて。自分も起業していない時に、起業したいんですけどどうしたらいいですかっていう質問をしていたことがあるんですけど、そもそも起業って登記すればいいだけじゃんっていう返事しかもらえず。でも、やってみたらそれに尽きるよねって思います。

なるほど。
自分もどうしたらいいかわからなかったんですけど、わからないけど進むしかないっていうのが、結論というか。正直、将来的にどうなるかっていうのはわからないような社会になってきていますし、そもそも大企業にいくのがいいとか、就職するのがそもそもベストな選択なのかっていうのがわからない社会になってきているなって思って。

そうですね。
なので自分の正しい道がないからこそ、自分の納得する道を選んでいくことがすごく大切だなと思っていて、その納得する道を決めたらまずは踏み出してみるしかないのかな、と。やりたいと思ったらやってみる。何言ってんだよお前って思いますけど、でも、それに尽きるっていうことを実感できたのが、起業してからのこの数ヶ月だったなって思います。

822 Views 0
応援する

頑張る人を支援する、挑戦者の応援メディア