株式会社こころみの神山晃男様にお話をお伺いしました。
長野県伊那市出身。10年間、投資ファンドのアドバンテッジパートナーズに勤務。2013年6月に株式会社こころみを設立、2014年2月には高齢者向け会話型見守りサービス「つながりプラス」を開始。劇団に所属経験あり。
高校時代の孤独とそれを救った劇団
末っ子だったので。
当時熱中されていたことはありますか?
何か理由はあるんですか?
それで高校受験がしたいって両親に言ったらあっさりOKが出たので、じゃあやろうって感じです。
でも本当は東京の高校に行きたかったんですよね。受かった後、どうやら藤沢は東京じゃないらしいと気づいて(笑)
慶應に入られてからの3年間は結構ご苦労もあったんじゃないですか?
3年間ずっと暗かったんですか?
でも学校の演劇部は恥ずかしかったので、外の劇団で学生も入れてくれるところを探して入りました。そこでお手伝いをやりながらちょっとした役ももらえて、そこでだいぶ救われましたね。
ここに居れば役割も与えてもらえますし、悩みも聞いてくれました。
その時の劇団の方には今でもお世話になっていますね。
高校時代に同年代ではなく、ちょっと上の人達と会話できるってものすごい経験じゃないですか?
色々救われたし、学べました。高校生にそういうメンターつけたらいいかもしれないですね。
劇団ではなく就職を選択
結局その後仕事が楽しくて、役者をやりたいと思ったことはなかったので良かったのかなと思っています。
1社目は何をされていたんですか?
わりと1年目から上司に評価してもらえて楽しくやっていたので、あまりストレスはなかったです。その後、転職してからの方がきつかったですね。
そんな時に先輩が投資ファンドの会社に転職活動をしていて、自分も一緒に受けたら受かった感じです。
まさに朝9時から朝5時まで働く生活でしたね。
その中でのやりがいや幸せな瞬間ってありましたか?
でも少しずつですが、3年目くらいから自分のやってきたことが実になってきて、できるようになったなと思うことはありました。
あとは周りの方に「頑張っているね」って受け入れてもらえていたので続けられました。
投資ファンドって外から見るとお金のためにってイメージで見られていると思うんですけど、真実はそうじゃなくて。投資ファンドって「付加価値は何か」ってことをものすごく考える商売なんですよね。
そうです。株価って企業が付加価値を生みだしていないとついてこないっていうこともあるし、例えば銀行からお金を調達してそのお金をきちんと返すためには、その会社はきちんと本業で儲けて満足させないといけないので。銀行との関係性みたいなものもただお金を借りて儲けさせればいいという話ではなくて、ちゃんとその過程を共有するとか、納得性の高いプロセスでお金を借りてくることが大事だったりします。
そう考えると周りにいる人や会社に対して、自分がどう価値を出せるかを真面目に考え続ける商売ではあるんですよね。それは楽しかったし、そういうことをひたすら考え続けられる場所にいられたことは良かったと思います。
孤独をなくし心を繋げるサービス
その時に今のビジネスモデルというか、高齢者とか親を基軸にコミュニケーションを提供するところはこれからやる領域としてあるんじゃないかと思って始めました。
怪しまれるだろうなと思っていたんですけど、ほとんど断られることはなくて、皆さん立ち止まって話をしてくださるんです。話しているうちにどんどん楽しそうになってきて。
「みんな話したいんだな。ここは満たされていない領域なんだな」と思い、やってみることにしました。
今思えばその時、高校の時の暗かった自分と照らし合わせて、居場所の無さとか話し相手がいない辛さを思い出して、このサービスをやろうと改めて思ったのかなと。
人の気持ちとか心の動きには前から興味があったので、そこに寄り添える仕事がしたいという気持ちもありましたね。
こころみの一人暮らし高齢者向け会話サービス
つながりプラス
http://tsunagariplus.cocolomi.net/
そうですね。義務感とか世の中のこうしなくてはならないとか、そういったものから全部自由になって欲しいですね。
あとはずっと人は長生きを目指してきたのに、老衰で死ねる時代がきた今、誰も幸せそうじゃないんですよ。それどころか歳をとったら不幸だ、迷惑だみたいな世の中になっているので、そこは自由にしていきたいですね。
そうです。
こころみの親のための自分史作成サービス
親の雑誌
https://oyanozasshi.jp/
お誕生日プレゼントにするのもいいですよね!
もっとこういうのが当たり前になって、親のこと聞くとか、親にそういう場所を持ってもらうとかその方がいいじゃないですか。
本当にそう思います。
最後なんですけど、将来起業したいけど悩んでいる人たちに対してアドバイスいただけますか?
見える世界が変わるわけではないんですけど、人と話しててありがたいなと思うポイントが増えたり変わったり、傷ついていたことに傷つかなくなったりっていう変化はあるので、それだけみても起業する価値はあると思います。ただやりたくなったらやってみて欲しいくらいのスタンスですけど。
その時は、またいつでも食べていける逃げ道は用意しておいた方がいいんじゃないかとは思います。
それがあるとしんどい時期に最悪どうにかなるって思えますし、そうじゃないと辛いと思うんですよね。