起業は自分の生き方を通すために
というのも、あんまり自分が欲しいと思えないプロダクトで仕事をするのが苦手だったので。
自分が興味を持てるプロダクトをやっていないクライアントだと、あんまりやる気が出ないタイプだったんです。
なぜファッション業界で起業されたんですか?
ただ、アパレルショップの、店員の目線を気にしながら試着室で服を脱いだり着たりしてっていうのが好きじゃなかったんですね。
昔からスマホ1つで自由にアバターを着せ替えできるアプリがあったら良いのにっていう思いはあったんですが、技術的にどうやればいいかわからなくて。
ただ3Dスキャニングのコストがすごい下がってきたりだとか、あるいは顔をスキャンしてそれをアバターで使うための技術が揃ってきたりして。
結構できるんじゃないかなと思ってスタートしたっていう感じですね。
「ええ、そう? じゃあ自分で作るか」と思って、自分で3ヶ月くらいでプロダクト作ったんですよね。
3Dのフリーソフトにblenderっていうソフトウェアがあるんですけど、それを使ってプロトタイプを作りました。
アバターの体型とかが変化するものです。
その後2人は抜けちゃったんですけど、1人は今のCTOです。
要は、会社が「あなたはこのプロジェクトに入りなさい」「この仕事やりなさい」って言ってくれるんですけど、僕の観点からすると、それはあんまり楽しくなかったんです。「将来性も微妙だよね」みたいな仕事が降ってきたりする事もあるわけで。
「50代くらいになっていきなりリストラされたら人生終わっちゃうじゃん」と考えて結構不安だったんです。
ただ、自由だけど自分で全部責任も負わなきゃいけないよねっていう面もあって。それをフリーランス時代に学んでおいた事は、起業するにあたってスムーズだったと思います。
なので、進捗管理とかはきちんと機械的に自動的になされるようにするとか、いわゆる仕組み化の部分ですね。
それぞれのメンバーが勝手に考えて勝手に動いてやってくださいね、ではなく、ある程度はそれをうまくするための仕組み化は結構意識してやるようになりました。
計画ではなくとにかく行動
結果として、考えるスパンがどんどん短くなってきて細かく先のことを設計するよりも、ざっくり正しい方向に今進んでいるっていう確信があればそれでOKって考えています。
東に進む上で、今日明日で正しいのは何かって考えて、それをやっていれば良いみたいな感じです。
正しい方向に進んでいることは確かですけど、結局細かい行動レベルで何が最適かっていうのはわからないですし、どれだけ考えても情報が足りなさすぎて分からないことが多いんです。
5個選択肢があったら優先順位を決めて、片っ端からさっさと片付けるっていうのを最近はやってますね。
結局世の中が20年後どうなるかって誰もわかっていないと思うんで、あんまり細かく設計してもしょうがないかなって思いますね。
中里さんが独立して起業されている原動力は「こういう世界観作りたいよね」っていう理念からこられているんですか?
そうですね、それは必要条件になりますね。でも一旦やり始めるとそれしか見えない状態になるんです。というのも、目標作ったら達成しないと嫌なんで。
会社も、そういうカルチャーになってきましたね。これドーベルマンって僕は呼んでるんですけど、「みんなドーベルマンにならなきゃいかん」ってずっと言っています。
犯人に嚙みつけって言ったら絶対噛みつきに行くし、どこまで行っても絶対追いかけて行く。いったん噛み付いたら絶対離さないじゃないですか。目標に対してそういった会社にしたいなって思っています。
なので社内でドーベル賞っていうのを作っています。ノーベル賞的な(笑)
どうすればできるようになるかを考える
ベンチャーに必要なマインドですもんね。
ただスタートアップってバカみたいに働くのに給料はそんなに出ないところがあるから「なんでこんなに働いているんだ」ってなっちゃうんです。そこのバランスが結構難しいですね。
そうですね。うちはブログを始めたんですけど、ブログでは成果をどんどん発表していこうと思っています。とにかくどういう事をやっているかを発信していって、その成果に共感してくれる人だったら一緒に頑張ってくれるかなって。
自分が行動して背中を見せていくのが一つと「とにかくやるんだ!」って伝えて、それでできなかったら「なんでだろうね?」って本人達に聞いています。
どうやればできるようになるかを知るために「なんでできなかったか」は聞きますけど、責めるために言った事は一度もないです。
起業してよかったと思えること
まあ、一言で言うと自分でコントロールできるってところですね。
だから大変だって感じないのでよくわからないですね(笑)
最後になるんですが、今の大学生とか高校生とか、就職するか自分で事業を持つかで悩む方に向けてアドバイスをお願いします。
僕はコントロールされながら生きるくらいだったら、自由に好きなことをやりたいっていうタイプなので起業しました。
ただ、世の中には「自分で何もかもコントロールしなくてもいいから、ある程度安定した環境下で保証されてます」みたいな環境の方が良い人もいると思います。まずは自分を知ることですね。
それが決まったらその特性が最も活かせる環境がどこなのか、見極める必要があると思います。