ネイティブスピーカーに聞いてすぐ解決!世界中の人達の知が行き交う場所を作る 株式会社Lang-8 喜洋洋 社長

留学して中国語の勉強をしていた実体験を元に、言語や文化について気軽に質問できる、全世界に向けたQ&Aプラットフォームを開発。世界中の人が教え合ったり知識を共有する場所を作りたいと語る、喜洋洋社長にお話を伺いました
人物紹介:大熊
とにかく好奇心が旺盛。英語を勉強したくて、HiNativeを実際に使っている。

 

人物紹介:喜 洋洋(き ようよう)社長
中国生まれ。4歳から日本で育つ。京都大学在学中に1年間休学して上海に留学。中国語の勉強をしていた実体験を元に、帰国後Lang-8の制作を始め、大学卒業と共に起業。

勉強ばかりしていた学生時代

本日はよろしくお願いします!
中国から日本にいらしたのはいくつぐらいの時なんですか?
4歳の時です。
そうなんですね。
子どもの頃はどういったお子さんでしたか?
高校受験の頃から勉強をがんばっていて、中学・高校と大学に入るまでは勉強ばかりしていましたね。
部活でテニスはやっていましたが。
外で活発に遊ぶというよりは勉強されていることが多かったですか?
そうですね。
基本的にガリ勉タイプでした(笑)
大学は京都大学に行かれてるんですよね。
選ばれた理由って何かあったんですか?
日本に来て最初は京都に住んでいて、その後小学3年生から高校卒業までは大阪だったんですけど京都が好きだったんですよね。
山に囲まれていて環境が良くて、落ち着くなって。
都会よりも自然が多いほうが好きなんです。
京都大学に入られるって相当勉強されたんですね。
1日どれぐらい勉強されてたんですか?
起きてる間はずっと(笑)
えぇ!? すごいですね…!
ガリ勉です。

ターニングポイントになった中国留学

大学に入られてからはどのような活動をされてたんですか?
それがですね、燃え尽きてしまったんですよ。
大学に入ってからは夕方の16時くらいに起きてバイトに行って、ゲームして寝るみたいな生活でした。
極端な性格で、やる時はやるんですけど、やらない時は全然やらないっていう。

そんな生活が続いてなんか面白くないなぁと思いまして。
それまで帰りたくないと思っていた中国にせっかくだし行ってみようと思って、1年間休学して上海にある大学に留学することにしました。

留学されたら環境も違うわけですし、感じたこともあったんじゃないんですか?
そうですね。
まず向こうはエネルギッシュで、学生達にやる気がありました。
留学生の授業も取っていたので、普段会わない日本の社会人や他の国の人達にも会ったりして、かなり刺激を受けました。
中国のエネルギッシュさはどういう時に感じましたか?

向上心がありますし、街も半年くらいで知らないビルが建ってるぐらいのスピード感で、とにかくエネルギーに満ち溢れている感じでした。

当時中国語があまりできなかったので、毎日中国語で日記を書いていたんですよ。
でも書いているだけじゃその表現が自然かどうかわからないので、中国の友達に添削してもらっていました。
それがすごく勉強になっていて、じゃあこっちも日本語を教えてあげてLanguage Exchange(語学交換)っていい仕組みだなと思いました。

そうだったんですね。
本当に実体験から得たものを形にしたサービスなんですね。
それを思いついたところから実際にサービスにして起業するまではどういう流れだったんですか?

留学して日本に戻ってきてからは、今までと180度違ってやる気もあって授業も全部出てバイトも3つくらいしてました。

そんな時にビジネスコンテストに誘われて参加したんですよ。
そこでドリコムの社長さんの話を聞いて、起業って選択肢もあるんだな、ITって面白そうだなって思って。

当時はWEB2.0と言われていて、ユーザーがコンテンツを作るみたいなユーザー参加型のモデルが広がっている時期だったので、じゃあその概念で世界中の人がSNSでお互いに添削しあったら面白いんじゃないかと思いました。

なるほど。
その時就職はしないで、自分でサービスをやろうと思ったんですか?

ここで勢いでやらないと、就職したら怖くてやめられないんじゃないかと思いました。

卒業後はプログラミングもITもわからない2人で起業したんですが、開発も何も進めることができず、半年後にはその人が抜けてしまって。
その後半年は1人でやって、2年目にエンジニアが入ってくれました。

1人の時期にモチベーションが下がることはなかったですか?
まだ起業して1年目だったし、開発ができなかったのでそもそもやりたいことをしていない段階で辞めるわけにはいかないと思いました。

逆境からの開発

エンジニアの子が入ってくれてこれで進むと思っていたんですけど、2人ともずっと朝から晩まで土日も働いてて。
なのにずっと事業が伸びなくて、不満が溜まってきて、だんだん仲がギスギスしてきちゃったんですね。
向こうは開発も何もわからない社長が口出してくるみたいな感じで、結局1年半くらいでその子が辞めてしまって。

やっぱり自分で開発ができないと最初の壁は突破できないなと思いました。
要するに社長だからって言うことを聞いてくれるわけでもないし、逆にエンジニア1人しかいないと言いたいこと言って辞められたらどうしようとか、ビジネス本に載っていないような難しいことがいっぱいで。

やっぱり自分でできないといけないなと思って、1人に戻った時に2年間くらいかけて開発を勉強しました。
起業して2〜3年経っているのに、まだサービスを維持できるかどうかでもがいているっていうのは惨めでしたね。

そうだったんですね…。

でもよくよく考えたら自分が変わらないと状況は変わらないなと思って。今までずっと相手のせいにしてたんですよね。

あとは大変すぎて考え方がポジティブになって(笑)この逆境でしかできないことをやろうと思いました。
社員がいたら1日中プログラミングの勉強とかできないですよね。

1年くらい勉強したら一応インフラのところはできるようになったので、英語を話せるようになりたくてフィリピンに留学しました。
午前中は英語の勉強をして、午後は開発をして。
これも社員がいたらできないですよね。

確かにそうですね(笑)

惨めで大変と捉えることもできたんですが、その時にしかできないことをやろうと思って。

2年たって一通りできるようになり、最初やっていたLang-8はPCメインだったんですが、これからはスマホの時代になるだろうと思い、今のHiNative(ハイネイティブ)というサービスを思いついたという感じです。

HiNative(ハイネイティブ)
「この単語は英語で何て言うの?」「ネイティブ達のおすすめの海外ドラマは何?」
言語や文化について気軽に質問できる、全世界に向けたQ&Aプラットフォームです。
https://hinative.com/ja

じゃあエンジニアがいなくなって1人でやっていた期間が本当に準備期間であり、必要な時間だったんですね。
今にして思えばそうですね。
当時26歳から勉強し始めたので手遅れかなって思ってたんですが、今となっては全然手遅れでも何でもなくて、やっておいて良かったなって思います。
年齢のせいにしちゃいけないってことですね。
そうですね。

世界中の人がお互いに添削しあう語学学習サービスを作る

ちなみに、HiNativeはLang-8に比べてかなり短期間でユーザー数が伸びたということですが、どんな違いがあったんですか?
Lang-8はSNSで外国語で文章を書いてネイティブスピーカーに添削してもらうというサービスでした。
思いついたのが留学のモチベーションの高い時だったので、みんな外国語で文章書くだろうと思っていたんですけど、そういうハードルの高いサービスって継続しないんですよ。

自分も使っていて「文章じゃなくてピンポイントで聞きたい」ということが多かったので、HiNativeではとにかく気軽に「この意味なんですか?」「この発音教えて下さい」って聞けるようにしましたね。

もう一つはサービスづくり素人だったのでユーザーさんから要望があったら何でもつけなくてはいけないと思っていて、Lang-8はかなり多機能だったんですよ。
でも1番コアな機能が使われないと、中途半端な機能がいくら使われてもサービスって伸びないんですよね。

HiNativeはその反省を生かして「とにかく疑問を解決する。質問したら、ちゃんと素早く信頼できる回答が返ってくること」に特化しようと思いました。
とにかく一つの機能で圧倒的な引きを作るというか、ユーザーさんのリテンションを獲得することに集中したのでそれは良かったなと思っています。

HiNativeの実際のサービス画面です
そうですね。
確かにゴチャゴチャしているのは使いづらいですし、自分もHiNative使ってるんですけど、すぐ気軽に調べられるのは本当にありがたいです!!

今後はこのHiNativeをどう伸ばしていきたいとか展望はありますか?

今までは質問と回答中心だったんですけど、投稿自体ハードルが高いのかなと。

溜まったデータを検索して辞書代わりに使えるように、意味とかをHiNative内で調べると他では見つからないような回答が見つかるって状態にできるよう、今進めています。
多分投稿する人が1割くらいで、閲覧のみの人が9割くらいなので、その輪が広がるかなと思っています。

確かに!投稿するのって少し壁みたいなものありますよね。
質問しなくても簡単に閲覧できるようにしたいっていうのが次のステップなんですね。

ちなみに、HiNativeさんは月間どのくらいの閲覧数があるんですか?

だいたい月間で、上が500〜600万人くらいです。
これもだいぶ伸びてきているので、すぐに2,000万人くらいまで伸びるんじゃないかと思っています。

それから、うちは日本のスタートアップではかなり珍しく、最初からグローバルなサービスを作ろうとしています。

日本のサービスって日本で成功してから海外に行こうって感じじゃないですか。
でもうちはサービスの仕組み的にもいろんな国の人がいないとそもそも成り立たないこともあり、今も登録してくださっているユーザーさんの97%が海外の方ですし、完全にグローバルなサービスを作ろうと思ってやっています。

すごいですね!
それは何処かの国に絞ることはなく?
そうですね。
今対応されている言語ってどれくらいあるんですか?
110言語ですね。
すごいなぁ…!
順調にサービスを伸ばされてきたと思いますが、今まで大変だったこととかってありますか?
たくさんありますよ(笑)
無我夢中でやっていてあっという間に20代が終わってしまったので、スピードを上げないと時間がなくなると思って、資金調達を何度か行いました。

でもCFOとかがいなくて1人でサービスのディレクション、サービスのグロース、資金調達をしていて。
バックオフィスもいなかったので1人で大量の契約書印刷したりとかしていて、全部大変でしたね。

業務内容が半端じゃないですね(笑)
1人で頑張っていた期間が長すぎて何でも1人でやってたせいで、組織の拡大が若干遅れたなっていうのはありますね。

もっと上の経営レイヤーから採用しないと組織拡大しないんですけど、そこは自分が頑張ればいいやと思っていたので、まずはデザイナー、エンジニアから採用していて。
それで組織の拡大の壁が去年くらいにあり、経営陣を採用しなきゃダメかなっていうのが現状です。

そうなんですね。

最後に、学生さんや起業したいと思っている方にアドバイスいただけますか?
僕が起業した時代と比べると、圧倒的に今の若い起業家のほうが優秀で、フレームワークとかプロダクトや資金調達のノウハウもだいぶ確立されているなって思います。
書籍で「リーンスタートアップ」「起業の科学」「起業のファイナンス」っていう本を読んでおけば、だいぶ無駄なことは省けるんじゃないかと思います。

左から「リーンスタートアップ」著者:エリック・リース、「起業の科学」著者:田所雅之、「起業のファイナンス」著者:磯崎哲也
この3冊がおすすめなんですね。参考になります!
あと起業をする上でやりたいことと必要とされていることって必ずしも一致するとは限らないと思いますが、どちらから考えた方がいいと思いますか?
学生起業だと僕も含めてですが経験がないので、自分のわかる経験の範囲内で面白いと思うことをやりがちですよね。
早めに仮説検証して、必要がないのであればピボットしていくのが現実ラインなのかなとは思います。

ただ起業すると大変なこともたくさんあるので、想いやビジョンは必要だと思います。狂気がないと続かないですね。

なるほど。やりたいことをやるには覚悟も必要ですね。
もちろんやりたいことでも市場がなかったら絶対続かないので(笑)どこでピボットするかは信念次第であって、続ければいいってわけでもないと思います。
とはいえ周りがどんどん成功しているのを見てると、信念がないとあっちの事業やった方がいいのかなとか目移りしてしまうと思うので。
勉強になります。ありがとうございます!

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