起業に至るまでの道のり
そんな先輩達を見ていると、ちょっとこのレベルでやるのは僕は無理だろうなって感じでプレイヤーとしての未来がなんとなく見えてしまったんです。
プレイヤーで一流になるのは無理だと思った時に、でもやっぱり何かで卓越したいという思いはあって、中2ぐらいから指導者をやりたいなっていうのは思っていました。
素晴らしい先生を見ていて憧れもありましたし。
大学院の時に母校の大学のコーチをやりながら自分で事業を立ち上げてっていう感じなので、そこがスタートでしたね。
僕はバスケの強豪中学から進学校の高校に進みました。
そこにはやっぱりいろんな中学校から人が集まるんですけど、バスケのことは同じくらい好きなのにどこに住んでいたかによって教わる技術も知識も差があるなと感じたんです。
当時はバスケの指導者や環境は選べなかったので、教わりたいって子が指導者を選べたらいいなと思いました。
でもそのために起業をしようなんて当時は全く思っていませんでしたね。
大学時代もバスケを続けていたのですが、そこで恩師との出会いがありました。
その先生に出会ってから、1つのチームを強くするんじゃなくて、指導者を育てて影響力を大きくしていく卓越性に魅力を感じたんです。
指導者を育てる指導者になりたいと思って大学の教授になろうと思ったんですよ。それで大学院に進みました。
大学院に進んだら、自分の好きにやるんだからさすがに親に学費を出してもらうわけにもいかないので自分で稼がなきゃと思って。
当時は勉強の家庭教師のアルバイトが時間単価の割りが良かったので、自分で募集して個人契約でやろうと思ってHPを作ったんです。
その時に、バスケのコーチを育てようとしているんだから、バスケを教える家庭教師にしたらいいんじゃないかって思ったのが直接的なきっかけです。
でも、大学1年の時の授業でスポーツビジネスを考えなさいっていう課題があって、その時に既にレポートに指導サービスのビジネスについて書いていたんですよ。
指導者がいないところに指導者を派遣するビジネスみたいなことはレポートに書いていたので、大学1年の時から漠然と考えてはいましたね。
指導を通して、成り得る最高の自分になってもらうお手伝いを
体育館をとって練習する環境を作っても教える人がいないってことで依頼をいただきました。
他のスタッフは個人の方からの「うちの子のドリブル見てください」っていうのもあるし、あとは地域の総合型スポーツクラブのコーチングに行ったり、普通の部活のチームに行ったり、様々ですね。
イベント毎にコーチで呼ばれたりだとか、そんな感じで今は活動は多岐に渡っています。
僕はバスケをやっていたので事業はバスケで始めて、バスケで良い仕組みが出来上がったらそれを他にも応用していけばいいと思っているんですけど、そもそもまだバスケにおいてもっとできるだろうって工夫がありすぎて…他の種目も出している場合じゃないっていう感じです。
もちろん事務的なシステムもまだまだ改善の余地があって、コーチの評価システムとかそういうものも今はやっています。
練習場を建てたいと思っているんですけど、そこにトレーニングルームも併設して体の使い方等のトレーニングも指導していきたいです。
どうしてもジュニアの現場って専門のトレーナーとかを置けるチームがほとんどいないので、怪我の対応とかリスクを軽減することがおざなりになりやすいんですよ。
そうすると、スポーツの面でなりうる最高の自分になろうって言ったときに怪我がちの子と怪我しない子では全然違ってくるので。
テーピング巻ける人がいませんとか。
教える・教えないっていう軸と、考えさせる・考えさせないっていう軸の2軸です。
指導者を指導する時も基本的に同じです。
最初はガンガン真似させる、言ったことをしっかりやらせるというスタンスで、それをある程度こなしていった人達がどんどん自分なりに工夫して考えて、自立していくという流れですね。
ビジネスとして成り立つという確信を持てた
勉強の家庭教師ぐらいでいいと思っていたので失敗したって別に人生終わるわけじゃないし、そもそも大学教授になるつもりだったので。
2年目ぐらいから少しリピーターが増えて件数が増えてきたので、後輩たちに手伝わないかって声をかけ始めて手伝ってもらうようになりました。
その時に、お金をもらって教えている以上、仕事としてプロ意識を持って準備をしようということで勉強会をやっていたんですよ。
コーチ育成のエネルギーにできるプロフェッショナリズムをベースにした意識の高い勉強会ができるし、もともとやりたかった子供に教えることと指導者を育てることの両方ができると思うようになりました。
これで飯食えたら良いなって思ったのが2年目の後半ぐらいでしたね。
ただ当時はそれほど収入がなかったので、どうやったら飯を食っていけるのかと思って色々ビジネスの本とか読み漁りました。
そしてお金の流れの作り方とかを考えて、スクールのような形態のやり方ができるとやっていけるだろうなとわかりました。
3年目に挑戦し始めて、これはいけるかもって思い始めましたね。
月にこれくらいの額を稼げるようになったら奥さん子どもを養えるだろうっていう目標を決めて、それは4年目にはもうクリアできるようになって5年目に会社にしました。
あと経営的な面でいくと『ビジョナリー・カンパニー』シリーズ1~4です。組織系のことのいろんな力学がまとめられています。
あとはドラッカーのシリーズです。
だいたい全部読むと企業経営の全体像はある程度網羅できます。
この3つを押さえておけばある程度は大丈夫だと思います。
最初は実直に信じたものに向かっていくべきで、ある程度信じたものを突き詰められたら、あれ、違う側面ないのかな?って思えた方が良くて、たぶんそのタイミングで本を読むと良いんじゃないかなって思います。
本は出会いが大事ですよ。出会いのタイミングが大事です。
自分の人生も社会も豊かなものに
これからの未来を簡単に予測できる範囲で言ったら、もうAIが活躍する未来があったりいろんなものがもっと自動化していったり便利になっていく。
便利さって人がどこかに集まるっていうことを不要にしていく可能性があって、だからその時に失われるものとか人間として欠けちゃうようなものが出てくるんじゃないかなって気もしています。
そんな時にスポーツが人が集まり続けるコミュニティとしての価値をいかに作れるかが大切だと思います。
どんなビジネスもお金を稼ぐっていうこと以上に何を為すのか、誰にどういう影響や貢献があるかっていうことが大切だと思うので、そこは立ち上げる時にはイメージしておくことが大事だなと思います。
もちろん普通に企業に勤めていても充実した人生を過ごせると思いますが、起業の方が自分の目指す仕事内容、働き方のイメージに近づけやすいです。
だから人生を満足したなって終えるっていう意味では、大変さ以上に得るものはあるんじゃないかなって思いますね。