時代の変化に対応しながら、テレビに情熱を注ぎ続ける 株式会社ティーズラボ 木元薫 社長

今回は番組制作スタッフの派遣業務、TV番組の企画・制作をされている株式会社ティーズラボさんにお話を伺いました。
今後のTV業界についても熱く語っていただきました。
人物紹介:木元薫 社長
福岡県出身。大手制作会社に入社後、バラエティを中心に数々の人気TV番組に携わる。プロデューサーを経て起業。一児の母。

 

人物紹介:小林
TACHIAGEの起業家インタビュアー。お笑いとバラエティ番組が好き。

起業に至るまでの道のり

学生時代ってどんなことをされていたのですか?
大学は福岡の女子短大に通っていたんですけど、アルバイトやサークルに忙しかったです。
高校時代は、女の子バンド組んでたり。

あ、たまり場みたいなたこ焼き屋が学校の正面にあってそこに入り込んでインスタントラーメンを作ったりしていました(笑)。
でも、ちゃんと勉強もしてましたよ。

木元さんの他のインタビュー記事を拝見させていただいたところ、身の回りに経営者の方が多かったというお話をされていたんですけど、それは学生の頃から身の回りにいらっしゃったのですか?
はい。親戚が全員経営者で、母親も起業していました。
業界は全部違うんですけど。
そういう方達に憧れはありましたか?
いや、その時は子供だから憧れというより、鬼にしか見えなくて…。
怖い親戚の叔父、叔母たちって印象でした。たぶんちょっと変人なんですよ(笑)、自分にも他人にも厳しい。

だから一本筋が通っていて、情に熱くって、茶目っ気もある、そんな人達がいつも周りにいるから、個性は磨かれたような気がします。

そのおかげでご自身が起業されるときには抵抗感はあまりなかったですか?
そうですね。経営者っていうのを見慣れていたので、その点はちょっと大きいですよね。
免疫ないと、普通あまり簡単には起業しないと思いますし。
TV業界を選んだのは何がきっかけだったのですか?
それはもう物心ついた時からTVが大好きだったので。エンドロールで名前が出るのを見て、こういうので自分の名前が出たら母親は喜ぶだろうなと。
今のスーパー早くて読めなかったなとか、もっとこうすればいいのにとか、その頃から制作側の目線で見ていたフシがありましたね。
前職で勤められていた会社が倒産してしまったっていうのがあったと思うんですけど、倒産してから起業しようって思うまではどんな経緯があったのですか?
倒産前に、だんだん傾いているっていうのがわかるんですよ。
その時は役員とかになっちゃっていたんですけど、どうするどうするって言って幹部で日々集まって…。

わたしはその時派遣事業部っていう自分の部署を持っていたんですよ。
だから、会社倒産しました、はい、さようならって簡単にはできない立場でした。
TV局の現場は常に回っていますからね。
もうこれは宿命だと思って立ち上げました。

ご自身が関わっていらっしゃったTV業界のこの点を変えていきたいという思いがあっての起業でもあったのですか?
その時は回ってる現場を円滑に迷惑かけないようにしようっていうのが1番でしたけど、もうちょっと自由に色々、会社員じゃない部分でできることはやりたいっていうのはありましたね。

その当時、立ち上げる直前に企画が通ったんですよ。
そういうのも引き金になって立ち上げているから、自信がないとやらないでしょうね。
視聴者投票で勝敗を決めるトーナメント形式の番組だったんですが、勝ち上がっていく過程はちょっと神がかっていました。

どこかに自信がある方が起業には踏み切りやすいですよね。
そうですね。やっぱり怖さの方が大きかったりするから、そこでもうひとつ背中を押してくれるものがあると良いですね。

ついてきてくれるメンバー、周りのクライアントの反応、あとやはりそれなりに資本も持ってないと起業できないので。
ゼロからの株式といったって色々かかります。
有り難いことにそれら全てが同タイミングで揃っていたので起業しました。

TV業界って企画は通りづらいのですか?
そうですね、簡単には通らないですね。
あとは、そもそもこういう企画でやりたいっていうのが局で決まっていてそれで声かけをするっていうパターンが多いです。

企画募集があればできるだけ応募したいんですけど、いかんせん目先の現場に追われてプラスαのことができないっていうのが多々ありました。
そういった意味でも難しいと言えば難しいですけど、もちろんチャンスもあります。

逆に今は当初と比べたら落ち着いてプラスαのことをしようっていうのは増えてきたりしているんですか?
会社的にはADやプロデューサーという職種のエキスパートを各局に送り込んでいるので、空いてる時に企画を出してねっていうのは言っていますが、なかなか忙しいっていうのが現状ですね。

もし万が一企画が通っても誰が集まるんだっていうのはありますし。
だから案を温めておいて時期が来たらやるって感じですかね。
もしくは、ティーズラボ主催でイベントをやっちゃって、新人さんに映像繋ぐ機会を与えるとかそういうのは積極的にやっています。

進化を求め、学び続ける

今ってMBAに在籍されていらっしゃるじゃないですか。
入学のきっかけは何だったのでしょうか?
もう会社を8年9年とやっていると結構落ち着いてくるんです。
みんなわたしがいなくても一生懸命仕事をしてくれているので、テレビの仕事はもちろん本体でありながら、次なる段階として合併や統合とかまた新しい事業をひとつふたつやりたいなっていうのがあります。

でもわたしはTV業界のことしか知らないからちょっと色々勉強したいなっていう思いですね。アナリストとか投資家のサポートにも興味があって、IT系や企業分析の科目を取っています。

仕事しながら通う青山のキャンパスは、違う意味で心も浄化されるので是非オススメですよ。

今後、学校以外でも挑戦してみたいことはありますか?
会社としてもそうですけど、自分自身のことでも。
会社としては環境に配慮した取り組み、個人としては、向上できて楽しいことなら何でも挑戦したいです!
TV業界って生活が不規則になるイメージがあるんですけど、健康面ってどうやって気をつけていらっしゃいますか?
ストレスが溜まったらとことん飲んで忘れるとか、秒速で発散して溜めないことですかね。
社員さんやMBA仲間や友人とくだらない冗談ばかり言って笑い合っていると元気が充電されます。

忙しさの中でも、コミュニケーションを大切に

会社の従業員さんは女性が多いとHPに書いてあったのですが、そうすると子育てや家事で取れる時間も限られてきますよね?
子供がいたらもちろんそうですね。
時短で働いたり、そういうのは推奨していますね。
ただどうしても締め切りがある仕事だから、難しいところでもあります。

単調な編集作業などはAIとかで解決できるなら早く出てきてくれないかなと思っています。
ギャグとか絶妙な間(ま)は人間じゃないとできない部分があるので上手く共存できると良いですね。

AIも結構言うらしいけど、そんなに面白くないかもしれないから。
人間も全員が面白いわけじゃないけどね(笑)

厳しいですね(笑)
ユニーク手当てというものがあるって聞いたのですが、どのようなものなんでしょうか?
例えば1月の給料日にお年玉手当をつけたりとか、特定の時期に「ご苦労サンキュー手当」とかいって59,639円を渡したりします。
受け取る側からしたら何この端数、何この9円って感じだと思うんですけど。わたしだけが嬉しい(笑)。

この金額なんて書いてあるでしょう、当ててみて〜みたいな。
それをユニーク手当と言っています。

社員さんが普段現場に出ていることもあって、コミュニケーションを大切にされているのですね。
そうですね。
飲み会か、毎月明細を配りに行くのでその時に顔を見るようにしていますね。誰かいるー?って言って局に行って。

でも実は私の方が元気をもらっているのですよ。
社員さん達の笑顔は私の活力ですから。

TV業界は変化していかなければならない

将来の展望はどのようなものでしょうか?
海外のテレビ局や映像チャンネル、そっちに持っていきたいなっていうのはあります。
日本のちょっと古いシステムも変わってほしいですね。
例えばコンテンツや企画があっても一箇所限定で他局には持ち込めなかったりするんですよ。それが正直古いなって思っていて。

視聴者の人はどこの局で放送しているかなんて関係ないじゃないですか。
例えば特定の好きな番組があったとして、この局じゃないと観ないって思ってテレビを観るわけではないと思います。
アメリカではどこの局でも観られるんですよ。シンジケーション市場というのが確立されていて。

そうするとわたしたち制作会社がもっと潤っていけるんです。
例えばシリーズもののドラマ100話とかコンパクトなコンテンツを作っちゃって売り込んでいって権利を持つっていう風にしていきたいですね。

将来コンテンツを自分たちで作っていくっていうのが目指すところなんですね。
そうですね。我が社の経営理念にも直結しますが、良いコンテンツを作って、揺らぎない権利を持っていたいです。

例えば、「24–TWENTY FOUR」というコンテンツを持っている、みたいな。それでいろんなところに売れるのが良いですね。再放送しつつ。

もちろん流行りの番組の傾向って変わっていくものだと思いますが、ずっと廃れない分野もあるのでそういう権利を持っていたら理想だと思います。
良いコンテンツと権利を持っていることが目標ですね。

TV業界がこうなったら良いなっていう理想系ってどのようなものですか?
他局間が局の垣根を超えて、もっと横のつながりを深めるべきかと。
ごくごくたまに民放とNHKの合体スペシャルとかはありますけどね。
やっぱりシンジケーション市場ですよ、業界全体が盛り上がった方が良いですから。

私たち製作陣もビッグビジネスのチャンスがあるからこそ、さらに入念に生き生きと準備するわけです。スーパーヒットを出すことを念頭において。

あとは、時代と共にコンプライアンスが厳しすぎて、この言葉を使っちゃいけない、ここが見切れちゃいけないってとにかくすごいんですよ。
どこまでいくんだこれ、何も好きなことできないじゃん、みたいな。

意外と視聴者の皆さんやスポンサーはそこまで思っていないのに、ルールの方が過敏になりすぎて一人歩きしてしまっているフシがある。

一つの打開策として、いまの企業スポンサー制度だけではなく、金融や個人投資家がスポンサーになりうる番組もあっても良いかと。
歯止めがかかる一つのきっかけになるかもしれない。

ネット時代の中、今後TVはどうなっていくと思われますか?
私はTVは無くならないと思っています。
今すでに変化してますが、見方が変わるだけです。
人気ドラマや紅白、オリンピックなどのスポーツは結局のところ大画面で見たいですから。

それと、誰もが情報を発信できる双方向時代へ変化したことは逆にチャンスと捉えています。うまく共存していけば良いのですから。

テレビが今後も喜んでもらえる媒体であり続けるためには、新システムを導入しつつ、新鮮な情報と真実と元気になるエンタメを提供し続ける。
何より視聴者の皆様に楽しんで見てもらいたい、その情熱と謙虚な心があれば、必ずまたそう遠くないところで再興すると信じています。

映像業界でやっていける人ってどんな人だと思いますか?
採用する時に何を見ているかというと、部活やバイト経験とその持続力です。
あとは学生の時に遊んでいたかどうかですね。だから、徹夜したことありますか?とか絶対聞きます。
夜の11時に職場だとウワァって思うじゃないですか。でも遊んでると、もう一軒行っちゃう?とかまだ始発までこんなにあるじゃんってなるんですよね(笑)その精神が大事で。

あとは何か1つすごくハマってる個性的なことがあると良いですね。
例えば、駐車場見るのが好きなんです!とか、一体どうしてこれが好きなの?みたいな。
テレビを作るのにその熱意がどこかで必ず活きてくるのです。
そんな人が素敵ですね。

度胸、謙虚さ、根回しが大切

将来の起業家へメッセージをお願い致します。
起業するにあたって必要な3本柱があると思っています。

1つ目は度胸です。社員の人生を抱えていてその家族とかも支えているわけじゃないですか。
プレッシャーは少なからずあってやっぱり度胸は必要です。

2つ目は謙虚さです。謙虚でないと、敵ばかりになってしまったら潰されてしまうし、まず社員がついてこないですからね。

3つ目、根回しです。起業には根回し不可欠ですね。
わたしが立ち上げる時も近しい制作会社の社長さんや関係者に一軒一軒ご連絡し、直接お話を伺ったりもしました。
こういう風に立ち上げようと思ってるんですけどどう思いますか?良いですか?みたいに。

今でもその時の先輩方の一言一言を覚えていて、ジーンとします。
一人残らず、助言しつつ頑張れと背中を押してくれたんですから。
感謝しかないですよ。
何より勝手にやるより、精神衛生上も動きやすいですしね。
業種が違っても共通の事象かと。

この3つが起業するには怠ってはならない要素だと個人的に実感しました。参考になれば幸いです。

727 Views 0
応援する

頑張る人を支援する、挑戦者の応援メディア