実際の介護家族の声から生まれたサービスを展開する、株式会社クラピス創業者の杉本社長にお話を伺いました。
起業に至るまでの道のり
杉本さんは大学生の時に起業されたのですよね?
3月卒業なので、ほぼ卒業と同時くらいですね。
20歳くらいの時に就活をするかしないか考えた時に、自分でやろうと決めました。大学に行きながら、介護関連の資格取得のために別の学校にも通いました。
周りに干渉されずに1人で仕事をしたかったので、それが最初の入り口ですね。
大学進学の際は何で選ばれたのですか?
結局大学で法律を学んだかはなんとも言えませが(笑)その時は介護のことは全く考えていなかったです。
そこから介護がご自身の選択肢になったのはどのような経緯があったのですか?
大学に入ってからは一人暮らしをしていたのですが、実家に帰るたびに症状が重くなっていくのを目の当たりにしていて、漠然と介護という問題に興味を持つようになりました。
弊社としてやっているのは介護をする側(事業者、介護職、介護している家族)のフォローです。
介護をする側の大変さをすごく感じていたので。
高齢者のフォローは介護事業者に任せて、僕らは介護する側のフォローに回ろうと思いました。
それで、大学の頃は資格を取ったり、介護施設の現状を知ろうと現場訪問をしていたんですよ。
いろんな介護施設を回る中で、やはり介護業界の人手不足の問題は深刻だと感じました。
そこで何かできることはないかなと考えて、人材事業からスタートしました。
「人」という課題にフォーカス
人っていう大きな課題に取り組む中で、戦略もプロダクトも甘かったので…。
WEB上での質の高いマッチングと、早期退職・介護業界からの流出の解消を意識して事業は行なっていましたが、なかなかそれを実現できなかったです。
その上でWEBサイト上でできるマッチングの質の限界というものを体感しました。
業界からの人材流出については本質的に事業者側の改善をしないと、表面的にマッチングで取り繕ってもあまり効果はないのかなと感じました。
バックオフィスだとか現場の方が苦手な部分のフォローをしていきたいですね。
なのでオンライン介護支援サービスに関しては、現場の意見だったりとかを積極的に取り入れながら、医療分野で似たプロダクトが出ていたりもするのでそこを徹底的に調査しながらやっています。
特に海外の事例も出やすいので先端事例とかをピックアップして、かつそれは日本でどれだけ使えるのかであったり、日本の制度設計の理解なども今回のプロダクト開発ではかなり意識をしました。
介護について正しい認識を
その次に情報格差ですね。必要な人に必要な情報が届いていない。
それによって事前準備も全くしていないのにある日突然親の介護がやってきて、仕事と両立は難しいということになって離職してしまう。
あと、介護が5年10年続く中でフォローしてくれる人がいないとフィジカル的にもメンタル的にもダメージがきます。
その積み重ねでの離職や、いきなり介護がやってきてパニックになって離職になってしまう。
結局離職してしまう方が大変なので、やめなくても続けられる仕組みがあるということを知ってもらって、サポートをしていく必要があります。
チェックが「介護ドック」というもので、弊社独自で開発したリスク診断ツールになります。
ストレスチェックをイメージしてもらえればわかりやすいと思います。これを受けていただくことで自分のリスクを数字で提示して把握してもらえます。人事にとっても社内に内在しているリスクの把握ができるので、対策がしやすくなります。
さらに裏側に介護職や医療専門職を集めたチームがいて、オンラインだからこそのチームでケアを可能にしています。
介護初期の保険申請や施設選び、各種手続きに関してはすべて代行することも可能です。
相談を待つのではなく、明日すべきことをこちらから働きかけるようなサービスを提供しています。
これらを福利厚生サービスとして法人企業に導入を進めています。
セミナーや電話相談窓口くらいの対策だと離職防止は難しいと考えています。
今後会社全体として達成したい目標はどのようなものですか?
介護はする側が大変ですし、おそらくされる側もする側に大変な思いをさせたくないと思います。
ここのフォローをしっかりやることで将来的な不安感というものをなるべく減らしていきたいと考えています。
目の前で数字を見てもらって実際のデータでこうなりますよと目で見て分かってもらうのは大事なところだと思っています。
50歳から介護の準備をしましょうだと限界があるので、やっぱり30代から介護に対する意識を持っていただくことは重要と考えています。
今は法人向けにやっていますが、年内には個人向けに展開をしていきたいと考えています。
いろいろなところと展開してドラッグストアや保険会社のようなto Cでやっているところと組みながら進めていく準備を進めています。
そしていずれは行政で配られるサービスになるのが理想で、それくらいの信用を得ることが第一です。
超高齢化社会に適応して新しい社会インフラを作ることをミッションとしているので、行政の不足部分を補えるようなサービスにしていきたいです。
自分に合ったやり方でやればいい
弊社も最初は創業融資を取っているのですが、当時周りの大人からは融資は絶対取れないと言われていました。
でも自分で行ったら案外普通に取れたんですよ。
ということは誰がやってもしっかり準備さえすれば取れるんですよ。
結論としては、学生だから難しかったとか、学生だから良かったとかはあまりないですかね。
あとは、楽しければ続くと思いますね。
1つ目失敗して別にやめようと思えばやめられましたがど、うちは失敗してキャッシュインがない状況でも、次のプロダクトを立ち上げましたし、攻め続けて良かったと個人的には思っています。
やりたいようにやって攻める。でも誰にでも当てはまることじゃないので自分にあったスタイルを見つければ良いのかなと思います。
自分のタイプを見極めて、合うやり方ができればいいのではないでしょうか。