迷ったら茨の道を行け!数々の困難を乗り越えてきた老舗社長が今思うこと。 株式会社佐田 佐田展隆 社長

創業90年以上の歴史を持つ「オーダースーツSADA
サイズ寸法はもちろんのこと、一人ひとりの体の個性に合わせたスーツを提供されています。
仙台と北京に自社工場を所有し、生地仕入れから縫製まで一貫して自社で行うことでリーズナブルな価格帯を実現、幅広い世代から人気となっています。
今回は、そんなオーダースーツSADAの佐田社長にお話を伺います。
何度も壁にぶつかりながらも乗り越えられてきた、その経験に基づいた考え方に迫りました!
人物紹介:佐田展隆 社長
一橋大学経済学部卒。卒業後、東レに入社。2005年に株式会社佐田 代表取締役社長に就任し、会社の破綻危機を救い黒字化へと導く。その後退社するも、2012年に再び代表取締役社長に就任。オーダースーツの海外縫製No.1企業の地位を確立した。オススメの本は『7つの習慣』。

おもてなしの気持ちこそが真のオシャレ

—本日はよろしくお願いします。
僕はまだオーダースーツを持っていないのですが、今度作ってみたいなと思っています。佐田社長の考えるオーダースーツを教えていただけますか?

オーダースーツを作る際は体のサイズを採寸さえすればいいと思われている方が多いと思います。ですが、採寸だけであれば身体測定と同じで簡単ですから、半日くらい研修したら誰でもできるようになるんですね。

弊社ではただ採寸するだけではなくて、一人ひとりの体の個性に合わせ、ご本人が望むような見栄えと着心地の良いスーツを作ることを心がけています。

なのでスーツを作る際は、お客様のライフスタイルや好みも確認するようにしていますね。


写真:オーダースーツSADA 東京駅八重洲ショールーム

ヨーロッパ文化におけるビジネススーツとは、おもてなしのために羽織るものなんですね。
「会ってくれてありがとう」と相手に感謝と敬意を伝えるために着るべきものとして、ビジネスにおいては最上級のドレスコードなんです。

そして今はヨーロッパスタンダードがアメリカを通じてグローバルスタンダードになっています。

世の中にはモテたい、目立ちたい、お金を持っていると思われたいとか着飾ることがオシャレだと勘違いをしている人がいます。

でも真のオシャレっていうのは相手のためにするものであると、私の祖父は言っていました。この考え方は社内でも大切にしています。

祖父はおもてなし感の塊みたいな人でした。
誰かが喜んでくれるのであれば自分が苦労することは全然構わないという人でしたから。祖父は私にとって人生のロールモデルのような存在です。

—素敵なお祖父様ですね。
佐田さんが4代目として就任されたきっかけを教えていただけますか?

まるでドラマ!?山あり谷あり波乱の日々

私は大学卒業後、東レに就職しました。

当時、父の代であった弊社はそごうの下請け工場だったんです。しかし、2000年にそごうが倒産し、売上の半分が飛んでしまうという事態が発生しました。

相当な傷手を負い、生き残るために運転資金を調達しまくって借金ダルマ状態になってしまったんです。その状態で父に呼ばれました。

私は東レでも営業でしたから社員の営業力を強化し、北京工場の品質を改善させて、必死で黒字化まで立て直しました。

しかし、やっと黒字化したと思ったら今度は父の粉飾決算が発覚し、会社は残せることになりましたが佐田家は追放となりました。
それで従業員を守れるなら仕方がないと、父も私も会社を離れることになりました。

私は3年間会社を離れていたのですが、東日本大震災で自社工場が被災してしまい、再び営業赤字に落ち込みどうしようもないと、ある日電話がかかってきました。

会社に戻ってきて欲しいと言われ、妻からは猛反対されましたがここで断るわけにはいかないと思いました。もう一度会社に戻り、それが今でもずっと続いているという感じです。

—すごい…。壮絶なご経験ですね。
苦しい状況が続いてきたと思いますが、どのようなお気持ちで乗り越えられてきたのですか?

迷ったら茨の道を行け

これが祖父の口癖だったんですよ。
男なら迷ったら茨の道を行けよ。それが正解なんだ」と言われて育ちました。

振り返って見ると、要所要所でそっちの道を選択してきているつもりです。

中長期的な視野で正しいと判断したことを実行するには、大体目先苦しい思いをすると思います。でも、そういう視野を大切に道を選んでいくべきだと考えています。

また「ポジティブであること」は常に心がけています。
これは嫌なことがあっても全部忘れてゲラゲラ笑っておこうという意味ではありません。そんなことをしても現実と目標のギャップは埋まりませんからね。

ポジティブであれっていうのは、ギャップが埋まっていない状態でも明るく元気でいた方が良いということです。
じゃないと仲間もできませんし、自分が手を差し伸べる側だったら、負のオーラを放っている人にはあまり近づきたくないと思いますよね。
気分に合わせていたら悲観的になっていた方が楽ではあるんですよ。

ギャップが一切埋まらない中でポジティブであり続けることは、生半可なことではありません。
そこで踏ん張っていくという強い意志が大切だと考えています。

それから、社員に対しても言葉だけでは伝わらないと思っています。
だから生き様でというか、自分の背中を見せて、日々の行動で伝えていかなければいけないと、そんな想いで社員教育にも当たっています。

その割には喋りますねって言われますけどね(笑)

変化に対応しながら、進化を続けていく

創業90年以上の歴史を持つ、4代目社長である佐田さん。
今の若い起業家の方たちに伝えたいメッセージはありますか?

私が最初後継者として会社に入った時は「この会社は何から何まで古臭くてどうしようもない」と思いました。パッと見たら全部ダメに見えるんです。

でもそこで根こそぎ変えてしまうのではなくて、古臭く見えるものでも埃を丁寧に落としていけばその中に光り輝くものが出てくるんですよ

丁寧に従来のビジネスを見直すという泥臭い作業をやることはとても大事だと思います。

時代が変わる中でもそれがあるからお客様がゼロにならないわけです。
それをしっかり見極め、いつまでも変化しない本質的なものを忘れない中にも、新しく変化を重ね、変えるべきところは変革していく。

ビジネスの世界では、ダーウィンの進化論じゃないですが、環境の変化に合わせて変えていけるものだけが生き残ってきていると感じます

最近は若い起業家や学生たちのビジネスコンテストも多いですが「アイデアだけでは事業は成功しない」ということをお伝えしたいですね。
結局はお客様が何に満足して喜ぶのかを追求し、改善を繰り返していくことなんだと思います。

ビジネスをやっていると必ず壁にぶつかる時があります。
初めからそのまま上手くいく確率なんてほとんどなくて、ビジネスモデルを軌道修正し改善を続けていった結果、全然違うビジネスになって上場するっていうことも多いですよね。

それを踏まえるとアイデアや目のつけどころではないんですね。
それらは単なるスタート地点でしかなく、そこからどれだけ苦労して壁を乗り越えて成長して真っ当な経営者になるかが勝負なわけです。
だから仮にビジネスコンテスト等で良い賞をもらっても、天狗になってはいけないと思います。

心が折れそうになった時、本当にその時に諦めずに、絶望的な状況の中でも泥臭い努力を続ける覚悟を持っていて欲しいですね。

取材:石島涼麻
静岡県出身。教員を目指していた時期があり、現在も毎週子どもたちに対して”勉強の楽しさ”を教えている。今回の佐田社長とのお話で『真のオシャレっていうのは相手のためにするものである』という言葉に感銘を受け、スーツに対する今までの概念が覆った。
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