ブロックチェーンビジネスが切り開く、新世代のデジタル民主主義 株式会社ATK Technologies、Wallace Lynch博士

みなさんは、個人情報の価値について考えたことがありますか?

インターネットを利用していると、私たちは意図せずに様々なデータを作り出してしまっています。動画投稿やブログ等の意図的なデータであれば別ですが、検索履歴や買い物の購入履歴、位置情報などは無意識に作り出しているデータです。

そのようなデータが我々の知らないところで、売買されているのが現実です。

多くの場合、「便利」と引き換えに個人情報を提供しますが、その代償はボクらの人権侵害です。

株式会社ATK Technologiesの創業者Wallace Lynch博士は、同社サービス『Alpha Browser』を通して、テクノロジーの概念を変えようとしています。

外国人ライター「コルちゃん」こと、コルストンは興味津々で株式会社ATK Technologiesの日本拠点へと向かいました。

今日はよろしくお願いします。
人物紹介:コルちゃん
TACHIAGEのライター。オーストラリア生まれ、心は日本育ち。日本でしか仕事をしたことがなかったため、アメリカ出張の際、「ビジネス英語できるかな?」と心配する中途半端な外国人。
こちらこそよろしくお願いします。
人物紹介:Wallace Lynch博士
連続起業家、そして株式会社ATK Technologiesの創業者。過去に複数のサービスを立ち上げており、多くのノウハウを持っている。「デジタル民主主義」を支持し、株式会社ATK Technologiesを創業、『Alpha Browser』を開発した。
よろしくお願いします。
人物紹介:野入賢吾さん
16歳よりアメリカに在住。HR会社にて、日系企業の管理部門を中心とした米国進出のサポートに従事。2018年6月より、株式会社ATK Technologiesの日本での拠点立ち上げのため、帰国し、現在は同社の日本代表としてお勤め。

 

【備考】この記事は英語で行なったインタビューを日本語に翻訳したものです。

株式会社ATK Technologiesと『Alpha Browser』が描く未来

株式会社ATK Technologiesの事業について教えてください。
私たちのビジョンは至ってシンプルです。
1990年代後半以降に生まれた世代へ向けたモバイルブラウザを開発し、「デジタル民主主義」を見守り、そして改善すること。
我々は、サービスを通じてこのビジョンを推し進める、テクノロジーカンパニーなのです。
「デジタル民主主義」とは何でしょう?
私たちは、よくインターネットを使います。そして、様々なデータを作り出しています。検索履歴や位置情報などの意図せずに生み出されたデータは、他の誰かに利用されてしまっています。問題なのは、ものすごいスピードでデジタル化が進んだ結果、データを生成してしまっている認識を持たない人が多数いること。

あなたのデータは誰のものなのでしょう?誰がそのデータから利益を得るのでしょう?あなたのデータがあなた自身のものでなくなってしまったら、あなたは権利を放棄したことになってしまいます。

情報に人権が宿ることを意識し、情報を守るためのツールが用意されること。ここに社会のニーズがあります。

『Alpha Browser』は、どんなサービスなのでしょうか?

『Alpha Browser』は、世界初、スマホユーザーのための「双方向性ブラウザ」です。まず、Cookieは使わないし、個人情報を記録しません。あなたの情報は安全です。そして、コンテンツクリエイターは自身のコンテンツの知的財産を守ることができます。

クリエイターたちが他社プラットフォームに作品をアップロードすると、所有権がなくなり、そのプラットフォームのものになるケースが多いです。しかし、『Alpha Browser』の場合、ユーザーの知的財産はずっとユーザーのものです。

また、『Alpha Browser』は、ブロックチェーンなどの技術を用いている、分散型のシステムです。私が「Digitzen」と呼んでいる人々のために『Alpha Browser』を開発しました。

「Digitzen」とは何ですか?『Alpha Browser』とどういう関係ですか?
「Digitzen」は、デジタル社会を認識していて、自分の人権を守ろうとする人です。もともと、「Digital(デジタル)」と「Citizen(国民)」からの俗語です。

「便利」を手にいれることで人権を放棄すべきではないです。「Digitzen」もこのように思っていて、私もそう思います。

私の望みは、人々が『Alpha Browser』を使用して、「Digitzen」の考えを目覚めさせ、デジタル社会の人権を守るためのツールを使用するようになることです。

ボクが調べたところ、『Alpha Browser』には自動的に表示されるポップアップ広告もなければ、手数料なども発生しないですよね。サービスどうやって収益化させているんですか?トークンを使うんですか?
トークンに関して、国ごとの制限が異なります。また、製品をトークン化するというのは、非常に時間がかかります。そのため、日本支社では、『Alpha Browser』の開発を中心に動いています。

ほかのプラットフォームと違って、直接的にはマネタイズしません。他社プラットフォームだと、場合によってはコンテンツの収益の7割も取られることもあります。

そこまでコントロールを渡すなんて、クレイジーです。クリエイターを大事にしたいので、株式会社ATK Technologiesとして、ほかの収入源を考える必要があります。

一般的には、サイトのトラフィックを収益化する方法は3つあります。

  1. ユーザーの邪魔にならないようなマーケティング手法
  2. B2B向けのサービス
  3. サブスクリプション

B2BとB2C向けのユーザーのために、サブスクリプション制度を検討しています。ユーザーの体験を邪魔しないような広告使用についても検討中です。

Wallace Lynch博士の人生

Lynch博士はいつ『Alpha Browser』を発案したんですか?また、どうしてこのサービスが必要だと感じましたか?
私の世代は、長年に渡り、インターネットを使ったことがありません。そのため、インターネットのBeforeとAfterを知っています。業界の最大手を通して、社会のデジタル化により生じた違和感に気づき始めました。

私はIT業界の起業家ですが、「デジタル社会においてどう生きるべきかを考えさせるには、どういうツールがいいのかな」と思い、みなさんが使い慣れているブラウザを作り直そうと思いました。

『Alpha Browser』はお金儲けのために開発したわけではないんですね。
Lynch博士のモチベーションは何ですか?
『Alpha Browser』の収益化は、そう難しい問題ではないのです。なぜなら、いいサービスを出せば、人々はそのサービスを使うからです。

私たちのミッションは、人類の精神とメンタルのために、より良い世の中を創ること。日本人を含めて、世界中の人々は社会の行く末を心配しています。いま、アクションを取らないと、後戻りできません。

私たち起業家は、ビジネスを拡大させるには、必ず利益を上げないといけません。それと同時に、世の中の流れに合っているサービスを作る必要があります。

サービスと社会のニーズが合致すれば、私たちは革命を起こせます。

若い頃から、Lynch博士はブロックチェーンに興味を持っていましたか?また、なぜブロックチェーンを『Alpha Browser』の開発に使用しようと思ったのですか?
ブロックチェーンは、『Alpha Browser』を搭載した技術の一部です。昔から、電子メールの誕生から使われているテクノロジーです。ブロックチェーンは私より年齢が上ですが、若い頃には特に興味がなくて。(笑)

一方では、分散型のシステムを実現するにはさまざまなテクノロジーを用います。

ブロックチェーンは便利な手段ですが、それより大切なのは弊社が作った製品の構成です。

以前にもLynch博士は企業を創業したことがありますが、ビジネスにおける考えで大事にしていることや、どうやって失敗を乗り越えたのかなどを教えて下さい。
起業家が成功するために、『自分の信念を強く持つこと』、『人の意見に耳を傾けること』、『失敗を恐れないこと』、『ビジョンを実現すること』の4つを大事にすべきです。

そして、何よりもビジネスというゲームに勝たないと意味がないです。

さらに、「成功している」企業の定義ですが、初めてからうまくいくというよりも試行錯誤を重ねてからビッグになる企業が圧倒的に多いです。

失敗から学び、それを次に活かすのが重要だからです。

むしろシリコンバレーでは、何度も失敗しても諦めないことが評価されています。

日本拠点を立ち上げる背景

野入さん、なぜアメリカに行くことにしたんですか?
僕が16歳の頃、父の仕事関係でアメリカのウェストバージニア州に引越しました。
Lynch博士との出会いについて教えてください。
当時、サンフランシスコの某HR会社に勤めていました。僕は仮想通貨関係のクライアントを担当していたのをきっかけに、ブロックチェーン、トークンエコノミーの分野について興味を持つようになりました。

初めてLynch博士に出会ったのは、スタンフォード大学で開催されたブロックチェーンについてのイベントに参加したときのこと。そのイベントの後の交流会でお会いしました。

なぜLynch博士と一緒に働きたいと考えるようになったんですか?
当時から感じていたのは、『ブロックチェーン=仮想通貨』に対してお金儲けのイメージを持っていた人がほとんどだということです。しかし、博士は違いました。お金儲けよりも、ブロックチェーン技術を用いて世の中を本当に良くしていこうという気持ちが伝わってきました。

当時勤めていた会社の業界がら「AI、ロボット等のテクノロジーが今後さらに発達していったらどういう仕事が人間に残るか」というテーマについて考えさせられました。そこで、アートや文学等、クリエイティブな仕事は残る必ずだろうという、とある方の話を聞いてとても納得できました。

Lynch博士のミッションは、クリエイターたちの仕事をテクノロジーを使って守っていくという、とても素晴らしいプロジェクトだと思いました。
なぜなら、感性を価値にするクリエイティブな分野をテクノロジーは真似できないからです。

Lynch博士と働くようになったのは、彼と出会ってから1ヶ月後の話。突然、夜中に、博士から電話をいただいていて。

「ケンゴは日本に戻って、日本の支社を作らないといけない」と。

「えっ?まだ博士の会社の社員ではないんだけど」とツッコもうかと思いましたが(笑)、博士のビジョンに魅了されていたのと、私自身もブロックチェーンをプロジェクトの中に入って学びたいと思い、10年住んだアメリカを後にして日本に帰国しました。この様なOpportunityをいただいた事に感謝しております。

アイデアは実行しなければ、一生アイデアのままです。ケンゴはパッションだけではなく行動力もあったので、「彼だったら…」と思い、声をかけました。
また、彼が私のビジョンに共感してくれたのが、決め手でした。
なぜ日本の支社をオープンしようと思ったんですか?
文化と経済において、日本の位置付けは非常に興味深いです。日本は東洋の文化と西洋の文化のどちらも持ち合わせていて、アジアへの進出を考えると、さまざまな意味で支社として相応しい場所です。

私たちは日本にいるコンテンツ作成者のために努めるのはもちろんのこと、分散型の経済と日本のクリエイターたちと共に成長していきたいです。

コンテンツを作成する人、起業家、メディアの関係者、投資家、政府の関係者までも、みなさん全員のご協力をお願いしたいです。

新世代

ケンブリッジ・アナリティカ社が起こした事件の影響で、あらためてユーザーは自分たちのプライバシーについて考えていると思います。
こういう出来事はデジタル社会の人権について考えさせられるキッカケになると思いますか?
政治コンサルティング会社のケンブリッジ・アナリティカ社は、フェイスブック利用者8700万人分のデータを不正に収集したと告発された
ケンブリッジ・アナリティカの事件に関わらず、どんな事件でも人々の自覚につながっています。そして、それを風化させてはいけません。

事件だったり、情報配信だったり、いくつかの「キッカケ」が必要です。

しかし、この事件はFacebookに限った話ではないのです。

あくまで、Facebookは集中処理のシステムのひとつでした。ほとんどのシステムが分散型のものではないので、また事件が起こってもおかしくないです。

Lynch博士から見ると、メディアを含めて、個人と組織の関わり方はどう変わると思いますか?
デジタルメディアの環境は変わりますが、決して、以前のテクノロジーが消えるわけではありません。たとえば、ラジオはまだ使われていますよね?どんなメディアでも、必ず価値があります。

また、個人と組織との関わりも変わります。分散型のシステムが広がると、個人の影響力も高くなります。

しかし、どちらのシステムも必要です。分散型のシステムを使うか、集中処理のシステムを使うのかは、場合によって異なるでしょう。

Lynch博士のおっしゃる通りです。
「ブロックチェーンだったら何でもできる、ブロックチェーンこそ全てだ!」と思っている人が多くいますが、あくまで進化しているテクノロジーの一部です。
『Alpha Browser』は社会の進化とどう関わりがあるのですか?この進化はいつ来るのでしょうか?
世界の進化はまさに「いま」です。私たちは、その進化の先端にいます。集中処理のシステム開発と同時に、システムの分散型が進行しています。
このバランスが非常に大切だからこそ、私たちは『Alpha Browser』を開発しています。
『Alpha Browser』を通して、人にデジタル社会における人権を認識させて、ひとつの選択を与えたいと思います。
自分の手で世界を変えたいと望む人が多くいますが、実際に世界を変えることは難しいです。
Lynch博士から見ると、世界を変えられる人と変えられない人の違いは何ですか?
やはり世界を変える人は、成功の本質を知っていると思います。成功は、失敗から生まれるもの。失敗しなければ、企画したものを実現する方法が分かりません。

いま、社会には新しいアイデアが求められています。起業家であればいろんな考えやアイデアを受け止めなければいけません。

例えばあなたの考えと異なるアイデアでも、決して悪くないことがあります。みんなそれぞれ考えを持っていて、そういうアイデアを聴いてあげるべきです。

また、起業家としては人々に選択肢を提供しないといけません。こうして、民主主義が生まれます。

そして何より、商品を出すには、やり続けるしかないです。

さいごに

常に進化している現代社会。20年前にも、スマホやインターネットなど、いまは当然だと思うものが存在しませんでした。社会はとても早く進んでいるので、ボクらは自分の個人情報データの価値を見失っています。あと戻りできなくなる前に、そのことを見直すべきだと思います。

Lynch博士たちは、『Alpha Browser』のようなプラットフォームを通して、みなさんにどう自分のデータを扱うのかを、問いかけています。

新しいテクノロジーは、ボクらの敵ではありません。ブロックチェーンのような技術を用いて「自分」というもっとも大事なものを守ることができます。

また、起業家になりたいと思う人であれば、Lynch博士の考え方には参考にすべき点がたくさんあります。

「成功は失敗から生まれる」「ユーザーに選択肢を与える」「とりあえずやってみる」「成功するまで諦めない」などなど。

Lynch博士、野入さん、お時間をくださり、誠にありがとうございました。大変勉強になりました。

『Alpha Browser』のチュートリアル(英語のみ)

『Alpha Browser』について気になる方、チュートリアルをご覧ください。

また、サービスをダウンロードしたい方は、こちらの文章をクリックしてください。

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